SLの不動産業

Sophiee Winkler

2008年12月25日 13:13




今回のじゃぱらんどの騒ぎで益々明らかになったのはSLにおける不動産業の難しさですね。ホテルやタクシーや旅客機を含めて通常この種のスペースを売るビジネスでは占有率というか、スペースがうまっている割合は40~50%で収支トントンになるとされています。ホテルの場合なんか、そんなに高い占有率は見込めないので、披露宴やイベント、会議場としての収入がメインになっているところも少なくありません。しかしSLで不動産業を営む場合には参入障壁が低くく、土地がどんどん売られてしまうので、この数字を維持するのは難しいのではないでしょうか?

リンデンラボの収入源が居住者あるいはサーバー所有者からの接続料のようなものであれば、土地の供給量を一定に留めて、不動産業者の経営を安定させることは可能です。ただ、そのようにしてしまうと土地の買占めや売り惜しみが出てきたりして、これはこれで住民の側に迷惑が生じる恐れもあるでしょう。

SLの不動産業(土地賃貸業)の付加価値というのは幾つかあって、まず小分け機能ですね。一人では月にUS$295も払えない人も、不動産屋さんから小さな土地を借りることで活動の拠点を持つことができます。次にメンテナンス機能ですね。これは住民としていろんなトラブル、様々なテロ攻撃とか、放置物とか、Simのトラブルの場合に、それらを解決してくれる管理人さんとしての役割や、リンデンラボと直接交渉する煩雑さを取り除いてくれるというメリットがあります。だから直接土地を買うより、賃貸したほうが少々割高でも構わないのです。

一番大きいのは人やモノの集積機能ですね。これは人が自然に集まって来てトラフィックが高くなり、情報交換がし易くなるということです。もちろんただ土地があるだけではだめでそこに様々な商業施設や文化施設があったり、カフェや集会所があったりしてコミュニティが形成・維持されていることが必要です。お店を開く場合には自分でSimを丸ごと買って、それを宣伝して集客するよりも、すでに開発ができていてある程度のトラフィックを期待できる場所を借りて始めるのが得策でしょう。

このようにSLにおいては仲介者としての不動産業は大きな役割を果たしています。このビジネスが成り立ち難くなっているということは長い目で見ればリンデンラボにとっても大きな問題であるはずです。でもこの1,2年を振り返るとリンデンラボは土地の販売と管理から上がる収益を最大化しようと腐心するあまり、既存の土地購入者の利益をないがしろにしてきた面が多いと思います。OpenSpace の売り出しは土地所有者には相当な打撃を与えたと思います。通常Simの初期費用の値下げもそうですね。これで来年土地の管理費が値上げされるようなことがあると、結果として非常に高コストな体質のビジネスになってしまいそうです。

じゃぱらんどの悲しい結末はRLの不況の余波だったり、経営者の見通しの悪さだったりするんでしょうが、底流としてはこのようなリンデンの政策があるのではないかと思います。

今回のじゃぱらんどはSimが15ということで、これを更に47都道府県に広げて行こうということでした。しかしユーザーのニーズの多様化や、SLそのものの発展にはあまり注意を払わずに画一的なモデルでSimを増殖させていくという手法は曲がり角に来ていたような気もします。このくらいの規模というのが却っていろんな違う手を打っていくのには難しいのかもしれません。私は小さなお店の経営だけで四苦八苦しているので、とても色んな人に土地サービスを提供するといったビジネスは自信がなくてできません。時間や手間も半端じゃないでしょう。
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