2014年01月15日
RLの裁き(2)

合衆国地方裁判所カリフォルニア北部地域オークランド支部は次のような和解契約書をとりまとめました。
原告:カール・エバンス、ドナルド・スペンサー、バレリー・スペンサー、ナオミ・ヘミングウェイ、個人としてまたその他同様の状況におかれ、傷つけられた彼等と利害を分かち合うあらゆる人々の代表として
被告:リンデン・リサーチ・インクおよびフィリップ・ローズデール個人
和解契約書および責務の解除:
(内容を掻い摘んで書くと)
この訴訟は2010年4月にフィラデルフィア東部地域裁判所に最初の提起がなされ、2011年4月には被告側により最初の反訴がなされ、2012年の2月と3月には原告と被告がそれぞれに訴えの変更を行いました。
この合意は昨年の5月末に為されたのですが、中身の確定に暇が掛ったので支払いはこれからということですね。
その後両者は様々な攻撃と防御を繰り返し、またカリフォルニアで両者は丸一日の話し合いの機会を持つなどして、ついに2013年5月に和解の合意に達しました。
(1) リンデンラボは原告に約US$24,000を払う
(2) リンランラボは原告に約L$43,300,000を相当するUS$で支払う
(3) リンデンラボは原告の土地1平米当りUS$2を払う
(4) リンデンラボは原告のヴァーチャルアイテムの対価として原告一人あたりUS$15を支払うか、原告の選択によりその代わりとしてそのアイテムをセカンドライフ・マーケットプレイスで販売することを認める。
以上はそれぞれリンデンラボにより原告等が奪われたアカウントに付属していたUS$,L$,土地、創作物に対する賠償になります。
これは集団訴訟ですから、原告以外にも同様の被害にあった人はそれを申し出ることにより、同じ賠償を受けることができます。まあ、日本にはない制度なので難しいですね。
で、和解の場合にいつも困るのは、私達訴訟外の者にとって、いったいリンデンラボの行為の何が不法不当で、裁判所は何を認め、何を認めなかったかが分からないことなんです。
例えば、リンデンラボが土地を勝手に没収した行為の何が、何に基づいて誤っていたのかは分からないのですね。恐らく法廷では「土地の売買という名目で対価を取っておきながら、その土地を勝手に没収するのは財産権の侵害だ。また管理料をもらっていながら没収した土地の管理をしていないからその部分は不当利得だ。」という原告の主張に対し、「バーチャルランドは財産権とは認められない。TOSでは規約に違反した行為があった場合には土地を没収されることに合意しているはずだ。」等というやり取りがあっても分からないし、裁判所がどのように判定したのかも分からないのです。
リンデンラボは和解によって、それまでの請求からは解放されます。これが「責務の解除」の意味ですね。でも和解契約のなかで裁判所は、この和解を知らない人にはこの効力はおよばず、権利主張の機会を失うことはないと宣言しています。でも、この和解が一応のガイドラインになるので、これを何倍も上回る法外な賠償請求をするというのは難しくなるでしょう。
余談ですが、本件の対象となった土地の広さは275,872Km2でした。またリンデンラボは各自のPaypalアカウントに賠償金を支払いますが、L$をUS$に直して払う場合には手数料を取るなんていうセコいことをしてはいけませんなんていうことも書かれています。
この合意は去年の5月ごろ為されましたが、中身や原告の確定に暇がかかったので、実際の支払いは今頃になったのでしょうか?
Posted by Sophiee Winkler at 00:43│Comments(0)
│ビジネス
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