2010年08月30日
CEOの方針

Treet TVを通じてリンデンラボのCEOであるPhillip RosedaleとCOOのBob KominがSLの中で討論をしている様子を流しています。次ぎのアドレスから皆さんも視聴してみてください。
http://treet.tv/shows/specials/episodes/slmeeting-30jul10
討論というか、今後数年間にSLをどのような方向に持っていくかということを主にRosedaleの考えを示しているのですね。そんなに具体性はないけど、まあ大まかな方向が分かるということではいいでしょう。
彼はその中で中心コンセプトをFast, Easy, Funとしています。Fastの中にはGridのクラッシュレートを下げること、チャットのラグなんかを解消すること等々、彼等の言うUser Experienceを改善することを上げています。テクスチャーがすぐに解像・表示できるようにというのもその一つです。
今回はちょっと趣向を変えて、書かれたものを訳すのではなくて、直接この放送をよく聴いて印象に残ったことをまとめてみたいと思います。
2010年08月27日
クリスタル(4)

24日づけでPhillip Lirnden (Phillip Rosedale)はユーザーに対して警告を発しています。まず、先頃起こったサービス拒否攻撃がEmerald Viewerから為されたものであること、Emeraldにはそのような「悪意のあるコード」が仕込まれていることを認めました。
次にその行為はThird Party Viewer Policyに直接的に違反すること、そのためEmerald ViewerはリンデンラボのThird Party Viewerのリストから除かれたことを明らかにしました。
また、これはEmeraldだけの措置ではなく、全てのThrid Party Viewerがリンデンラボと約束した標準規則を遵守すること、それがない場合は同様の措置が取られることを補足しています。最後にEmerald Viewerの利用者はその利用をやめ、リンデンラボの公式Viewer又は他のThird Party Viewerに切り替えることを勧めています。
http://alphavilleherald.com/2010/08/emerald-in-disgrace-philip-linden-warns-against-malicious-viewer.html
Fractured Crystal自身が違反行為を行なったのかどうかの確証は私にはありません。やったとするなら余りにも幼稚で、彼くらいの実力があれば何もEmeraldからやる必要もなく、簡単なそれ専用のViewerを造って別アカでやれば済むことです。SLの中からやる必要も全くありません。またそもそもそんなことをするメリットもないのです。だから、恐らくチームの若いメンバー(高校生レベル)が面白がってやったのではないのかと今は思っています。
しかし問題はそんなことができるような仕掛けを組み込んであるということで、それがFractured Crystalの悪意ということになります。真相はまだ完全には明らかになっていません。しかしブログレベルの情報はもう公になっているでしょう。私が追いついていないのですね。週末にはちょっと時間を割いて調べてみることにします。
残念なことに公式のViewer2は使い勝手の点ではEmerald に大きく劣っています。ユーザーは奇を衒ったインターフェースなど望んでいません。基本的なことがシンプルにでき、その上で各自のカスタマイズが可能であればいいのです。ボタンの位置やメニューの配列をコロコロ変えることは迷惑なだけで機能向上とは何に関係もありません。Emeraldがここまで人気が出てしまった一端にはリンデンラボの怠慢も大きいと思います。
今後リンデンラボが取る措置として一番いいのはEmeraldのチームのうち、真面目で良識のある人を何人かリンデンが雇うか、新たなサードパーティとして認定して公式ビューワーにEmeraldの長所を取り込むとともに、公式の変な勘違いを取り除くことで名実ともに信頼できるクライアントソフトを完成させるということでしょう。
とりあえずスノーなんとかというサードパーティのビューワーがあったので、試して見ようと思っています。
ユーザーの意見が寄せられていて、一つは「Emeraldの悪意を指摘するのはいいとして、例の初歩的なCopy Bot機能つきのNeil Lifeは未だに跳梁跋扈していて、バリエーションも一杯増殖しているというのに、それを放置しているというのはどういうことか。」というものと、「Emeraldを使わないようにすることで迷惑を被るのは一般ユーザーで、テクスチャー泥棒だけではないのに。」というものでした。この記事の趣旨からはズレたコメントだと思いますが、ユーザーの気持ちであることは確かですね。
本当のところFractured Crystalは何をしたかったのか?彼は面白半分で悪戯をやっただけなのか?そうではない何か遠大な悪意に満ちた構想や計画があって、ユーザーをEmeraldで魅了する一方で、着々とその企みを進めてきたのではないかと思ったりします。
私には何の根拠もありませんが、彼は実はリンデンラボの中枢部にいる人物なのでないかと想像しています。こんなことが起きても相変わらずRLの正体は不明だし、リンデンからある種の敬意を払われているように感じるからです。第三者からは信頼できない大嘘つきと呼ばれていますけれど。海外の一流ブロガー達も同じような疑問を抱いていると思います。
2010年08月26日
クリスタル(3)

HeraldのPixeleenによるEmeraldの開発メンバーへのインタビューです。
「私はAllabera SteadhamにModular Systemのウェブサイトをどういう形で終わらせるのか、またチーム内の強硬な対立にどう納まりをつけるつもりなのかを尋ねた。」
PM:「僕はある時点で貴方が辞めたかあるいは辞めるように圧力を掛けられていたという印象を持っていたんだが、Fractured Crystalの方が先にギブアップしたんだね?」
AS:「いいえ、順をおって説明しましょう。 私はEmerald Viewerの開発チームを昨晩辞めました。この件に関してTreet TVにインタビューには応じられないと知らせました。同局のパーソナリティであるPaisley Beebe が何か言っているとしたら、Tateru Nino(Massively の主催者)経由の情報でしょう。」
「明らかに私が離れたことに続いて、多くの他のメンバーもチームを離れました。そのすぐ後で、少数のメンバーが集まって何ができるのかを考えました。その2時間後にFracturedはブログに投稿をおこなって辞任を伝えたのです。私は今チョコチョコしたことを投稿しています。」
PM:「ということは、実質的にはほとんど皆が辞めて、Fracturedが置き去りにされ、彼も崩れたというわけなんだ。これで矛盾するような投稿も辻褄が合うというわけか。」
AS:「つまり、目覚めているときには時間だけがたっぷりあるということね。私たちは地球のいろんな地点に散らばっているから何時でもちゃんと協力し会えているわけじゃない。私にとって物事がスムーズに展開しているように思えても、他の人にとっては脈絡がないように思えるのは容易に有り得ることよ。」(メディアや外部の人間が真相を誤解するのはある程度止むを得ないという趣旨)
Pixleenの感想が述べられています。
「Arabella Steadhamは嘘はつかないだろう。しかし匿名のままであることは変わりない。(Fractured Crystalと同様だ。)それで貴方たちは彼女の作るViewerを信じることができるのだろうか?
Steadhamは今夕Treet TVに出演してインタビューを受けた。しかしEmerald
チームに関するRLでの契約内容について情報を開示することは渋った。彼女はリンデンラボが自分が誰かを知っているのだから、それで十分だろうと述べた。しかしこんなことでEmaraldはプレイヤーから信頼を得られるだろうか。
リンデンラボの内部でこの数日後にあった面白い会話というのは、Emerald Viewerをサードパーティ・ビューワーの頁に復活させるのは何時ごろが適当だとゲームの神様(Rosedale?)は考えているのかということだ。あるいはEmeraldではもうSLにアクセスできなくなるのかという話題もあった。
この恥多き開発チームがリンデンラボからの信頼を回復するのは難しいだろう。取り分けEmerald の開発者であるLonely Bluebirdがiheartanime.com への攻撃が分散型のサービス拒否攻撃を試みたものであったことを認めるのを拒否すると、Treet TVのイベントの後でチャットで語っているのが分かってしまったからには、尚更そうだ。
リンデン側が何もしなかったことはサードパーティのビューワーポリシーを骨抜きにするだろう。しかし、ビューワーを変更することをユーザーに強要するのはPhillip Lindenによって囲い込まれた電子の庭園から去っていく者の数をさらに増やすだけだ。それは重大な問題だ。このジレンマを突きつけられて、リンデンラボはEmerald はただ人気がありすぎて失くせないものだと決断するのだろうか?」
2010年08月25日
クリスタル(2)

昨日の続きです。Herald の主筆のPixceleen MistralはEmerald Viewerの開発チームのひとりであるSkills Hakに何故リンデンのサードパーティ・ビューワーのリストからEmeraldが削られたのかについて、質問しました。
PM: 「Emraldをリストから外すように頼んだのは貴方なんでしょう?どうしてだが説明してくれない?」
SH: 「なぜならそれはFractured Crystalの名前で登録されていたからさ。そして我々が彼にチームのヘッドの地位から去るように要請した。」
PM: 「ということは、サードパーティ・ビューワーのポリシーに違反したということとは関係ないということ?単なる名前の変更みたいなものなんだ。」
SH: 「多分その両方がちょっとずつ関係しているだろう。もちろんリンデンラボは全くハッピーじゃないし。我々はFractured に勧めて新しいサーバーとドメインを買うようにさせた。それから全てのリストラクチャリングをやって、俺はSimを買って、彼は正式に辞任したんだ。」
PM: 「新しいドメインは何になったんだい?」
SH: 「もうそんなこと言ってしまっていいのか、よく分からんよ。」
PM: 「ということは現在は貴方がEmerald Point(チームの本拠地)を所有しているということだ。」
SH: 「多分明日にはそうなっているだろう。」
PM: 「うん、確かに土地の名義変更はちょっと時間がかかるしね。」
SH: 「なかなかいいsandboxなんだから、無駄にするには惜しいんだ。」
PM: 「Emerald がもう一度サードパーティ・ビューワーのリストに載るということの可能性についてどう思う?」
SH: 「分からないな。そんなことがあるとしても、それはJoe Lindenや残りの連中の考え方次第だろう。」
PM: 「その通り。Soft Lindenは私が見せてもらったメーリングリスト形式のデータの洪水について心配していたね。分散型のサービス拒否攻撃って手を開いたり叩いたりするくらいの簡単さでできるからね。」
SH: 「それはよく分かるよ。」
でも、考えてみると辞任とか言ったって、RLでの正体が明らかになっている訳ではないし、後任も同じ人間でアバター名だけ違うなんていうことも有り得るので、政治家の反省ジェスチャーみたいなものと同じなのかもしれない。
明日はArabella Steadhamへのインタビューです。
2010年08月24日
クリスタル去る

長い間MassivelyのSLの歴史を振り返る特集に集中していたので、最近はすっかりArphaville Heraldを読んでいませんでした。8月10日には大きなニュースがあったようです。
「スキャンダルにまみれていたEmerald Viewerの開発チームはFractured Crystalの辞任を含む抜本的な変革を行なった。」
直接の切っ掛けとなったのはいわゆるDOS攻撃(Denial of Service )で、システムのサービスに処理能力を上回る大量のデータを送りつけ、サービスを遅延・停止させるものです。この攻撃がEmerald Viewerから行なわれ、ライバルのiheartanime. Com のサイトに約800ギガバイトが送りつけられたのだそうです。これはリンデンラボのサードパーティのViewer Policyに反しているばかりでなく、アメリカ合衆国においても違法なのです。
どうもこの攻撃はFractured Crystalがやってしまったらしく、彼は次ぎのように述べています。
「僕は僕の過ちを正当化しようとは思わないし、単に説明をすることもしない。想像にかたくないことだが、もし誰か他のものがこれをやったのだとしても、それは許されるべきものではない。だから僕の場合にも同じ評価が下されるべきだ。僕は自発的にプロジェクトから外れる。可能になり次第、僕はメインのウェブサーバーの管理権をArabella Steadhamに移管する。」
そのArabellaは自分を含むメンバーはやはり辞任して、あらたなViewerプロジェクトを始めたいと語っています。
Emerald Viewerは既にリンデンラボのサードパーティ・ビューワーのリストから削られています。
まあ、いつかはこんなふうになる気はしていたのですね。プロジェクトチームの幹部であるSkills Hakと記者の会話は次回に。
2010年08月20日
SLの未来

長々と引用してきたMassivelyのSLの歴史に関する特集記事でしたが、Tateru NinoはSLの未来についてあまり多くを語ることはありませんでした。ちょっとがっかりですね。
さて、私の考えを書いておきましょう。リンデンラボの経営の拙劣さ、必要もないスタッフを多く雇うとか、経済実態を良く見せる操作をするとか、ユーザーや事業者の犠牲の上に自らの利益を積み重ねていこうという姿勢は大いに非難されるべきです。しかし本質はそんなところにはないのではないでしょうか?
つまりリンデンラボの手詰まり状態というのは、リンデンラボの経営の問題がメインなのでなくて、SLが世の中に新しい価値を提供できていないということが原因であると思うのです。
世の中に存続しているものは価値が全くないか、あるかのどちらかです。砂漠は油田でもあるのでなければ放置されたままです。価値を生み出さないものはコストを掛けて手を加えられるということはありません。価値のあるものはわざわざ人が買いにやってきます。
SLから人々が得られる価値というのは大まかにいうと(1)娯楽や慰安、(2)RLのシミュレーション、(3)経済的利得、(4)他者とのコミュニケーションや出会いなどでしょう。そしてそれらがRLにないものであったり、RLと比べものにならないくらい低コストで得られたりするのであれば、人々はSLの価値を認め利用者は増えていくはずです。逆に他の仮想世界のサービスやRLがSLを上回るものを与えてくれるのであれば、SLは低い価値しか持ち得ないことになります。
残念ながら(1)の一部を除いてはSLはRLを陵駕するには至っていません。同じ時間を使うのであればRLで働いた方が確実にお金になるし、本当にビジネスに使うシミュレーションならば専用のものを作るでしょう。教育やコミュニケーションにしても直接会って行なう方が効率もよく信頼もできます。RLの再現をねらった真似事はできても、RLを超えるオリジナリティを出すことはできていないのです。
それはSLがコンテンツの集積ではなくて、プラットフォームであるからです。活動の土台を与えてくれているのであって、何をすべきかを教えてくれるのではないからです。つまり、SLは私たちにRLでやっているのと大して違わないことをSLの中でもやれと要求しているのです。これを無視するか、あるいはこれに応えて何かをやるか、どちらにしても私たちは最後には飽きたり疲れたりしてしまうのです。
もちろん今までにビジネスをやったことのない人がSLのなかでそのシミュレーションを行なうことによって目覚めるとか、ものづくりの面白さを知るというメリットはあります。欧米人って意外に引っ込み思案な人もいるのだと分かったりします。しかしそれは朝早く起きて毎日公園のお掃除を続けたり、ジョギングして人と出会うというのと同じ程度の効果なのです。RLでやれることの方が本物なのですね。
何か画期的なことを思いついた人がいて、それをわざわざSLに持ち込んでやってみるでしょうか?RLと比べてコストがうんと低いというのであれば意味は多少あるかもしれない。しかし、やはりRLで小規模に試して、本当にうまくいくかどうかをチェックするのが本筋でしょう。なぜなら私たちの活動の本拠はRLにあるからです。
そうして、これが何時でも問題なのですが、実際にSLを使って何かをやることでヒントを掴んで、RLのビジネスやその他の活動に反映させている人は少なからずいると思います。しかし、恩恵を受けているのはRLの方であってSLの側ではないのです。本当にうまくいったことを他人に教える人はいないのかもしれません。これが企業がSLではなくて自分達のファイアウォールの内側で様々な実験やシミュレーションを行なう理由です。
いまちょっと中断しているのかもしれませんが、ブラウザベースでSLにアクセスできることは非常に大事なことだと思います。ただそれは飽くまで導入であって、今後よほどの技術の大幅な進歩が実現しない限り、今私たちが楽しんでいることと同じことを携帯電話等の簡便な端末でも経験できるということにはならないでしょう。
ここでは繰り返しませんが、私は過去にブログで考えられるRLとSLを繋ぐビジネスのモデルに幾つか言及しました。しかし実際の経済性や需要といった面では、やってみないと分からない部分が多いものでした。リンデンは沢山の専門家やスタッフを集めて日夜考えているのでしょうから、私が思いつくことの何千倍もいろんなことを考えて、やってみているのだと思います。でも何かの鉱脈に行き当たるということはなかったようですね。
アクセスの容易さやプラットフォームのパフォーマンスが向上するというのは必要なことです。しかし、コンテンツやビジネスモデルを生み出すのはユーザーの側なので、まったくゼロから何とかしなさいというのではなくて、ヒントになるようなものを幾つか作ってみるというのもリンデンとしてやっておくべきだと思います。
自然災害やパンデミックのシミュレーションを行なうSIMとか、都市交通のシミュレーション等であれば比較的作り易いし、一般の興味を惹くのではないでしょうか?もちろんそれらはスプレッドシートが一枚あれば計算でき、わざわざSLの中でやる必然性はないと言えるのですが。ただ、私には人間を数字や色つきの点で表示するのでなく、プログラムされたBotsでやってみるのも何か生まれてきそうな気がするのです。
2010年08月19日
SL創世記(16)

「SLの歴史というには短すぎる記述だったかもしれない。それは単に語るべきことが多すぎて取り上げきれなかったか、私がスキップしてしまったかのどちらかであって他意はない。全部書いたら本が一冊どころか数冊はできるだろう。実際幾らかのものはもう本になっている。もし貴方がSLの初期のことを余すところなく知りたいのなら、James Wagner AUの本を読むのが恐らく最上の出発点といえる。
ということで、SLとリンデンラボはどこへ行こうとしているのか?
大まかにいえば、今年の末までにはリンデンラボは最初いたスタッフの50から60%をレイオフすることになると我々は考えている。これには自発的に辞める人の数も入っている。
15-20%を超えるレイオフが為される場合にはレイオフ対象を選ぶ役の人間も最終的にはレイオフされるというのがお決まりのやり方だ。それは不愉快だが止むを得ないことだ。その人物を取り除くことの意味は、残ったスタッフや顧客の反感をそのついてない奴に集中させることにある。それでその後はその他のことは大して否定的な動きにまでは発展しないで進んでいくという寸法だ。
実際起きてみると、それはそのようなお定まりの終わり方をして、びっくりするようなことは何もなかった。
リンデンラボはそのゴールと計画ということに関してはいつでも秘密のままにしてきた。しかし今回レイオフを行なうにあたって、将来さらに顧客指向を強めるために行なうのだと明らかにした。
実際これが何を意味しているのかは全く不明瞭だ。間違いなく分かるのはリンデンラボが過去には顧客指向でなかったということと、SLの歴史においてもほとんどの期間はそれは追求されてこなかったということだ。もし我々が言葉で判断するのではなく、リンデンラボの行動で物事を判断するとしたらの話だが。
貴方たちも分かっているだろう。毎年リンデンラボは自分達は顧客にフォーカスしているし、しようとしていると表明してきた。それは物事をシンプルにするための努力であり、すべてにわたって安定性と信頼性を向上させることであった。ほんの何週間か前にRosedaleはAnniversary のスピーチでそう言ったし、CEOの座にあったときにはKingdonは毎年そう言っていた。それ以前にはRosedaleが毎年同じことを述べていたのだ。
だから我々がリンデンにより語られたことというのはそんなに熱心な気持ちから出てきたものでないと思ったとしても、皮肉屋だとは評されないだろう。それは経験から来た実際の思いだからだ。
口で話すのはたやすいことだ。Rosedale自身ことばよりも行動でリンデンラボを評価すると言っていた。問題はリンデンラボは何をやるにも大変な時間を使ってきたので、何か目に見える行動というものがあったとしても、それは遥か彼方に退いてしまってよく分からないということだ。
我々はまたRosedaleが実際のリンデンラボの経営に関与しているとは思っていない。つなぎのCEOであろうがなかろうがだ。ほとんどの経営の主導権というのは今度のCOOの手にゆだねられるだろう。RosedaleがまだSLを愛しているのは疑いないが、我々は彼がもはやリンデンラボに対して大きな関心を持っているとは思わない。
リンデンラボにはCEOが必要だ。しかし彼が実際に現れて働き、自分の席を暖めることなど我々は期待していない。
Rosedaleの存在はリンデンラボのなかに、ちょっと息がつけるスペースをつくり、再び潮が押し寄せられるような温かいぼんやりとした気分を保つ意味がある。しかし、間もなくリンデンラボは今度の措置の結果というものを示さなければいけない。それができなければ、Rosedaleを一時的にCEOに据え戻したことによって得られた自信も失われてしまうだろう。さらに言うと、リンデンラボは実際に働くフルタイムのCEOを必要とするようになるはずだ。
ということで、我々は全体としてはSLをリンデンラボが運営するやり方に何か際立った変化が実際に現れるとは期待していないし、予言もしない。この点で我々が誤まっているとすれば、それはとても素敵なことだ。我々は望みを失ったわけではないが、期待をしているというのでもない。
最後にリンデンラボのような会社が現在のような状況に置かれたら普通は何をするのか考えてみたい。彼等は一般的にはあらたに会社を買ったりする。それは次ぎのAnniversary の前に何らかの買収をするのではないかと思う。その先何が起こるのかというのは難しい。リンデンラボは依然としてゴールと活動の方向を秘密なままにしているからだ。
SLはクールで、面白くて、気が利いていて、貴重な存在でありつづけるだろう。しかしそれはつまるところ信頼の上に成り立っていて、リンデンラボはその信頼を取り戻すために広げすぎた手をすぼめることが必要だろう。」
なんとか漸く終わりました。次回は私の考えを述べてみたいと思います。
2010年08月18日
SL創世記(15)

「2010年
今年は今までのところリンデンラボとしてはその本来の性格に似合わず、随分とおとなしくしている。ああ、ビデオチュートリアルとかユーザーに対するヒント集とかそういうのはあった。しかしほとんどの場合はトップダウンで行なわれたつまらない企画だった。ユーザーや市場とはほとんど対話もなしに進められたことだ。リンデンラボ自身は既にこの時点で面白い年になったと述べている。
リンデンラボは2010年を『愉快な年』と位置づけている。
2010年にはリンデンラボは今までに犯してきた経済成長の計測方法に関する誤りを、知らないふりをして後ろに置いてきたつもりだったが、ついにはそれに追いつかれてしまった。ユーザー間取引に焦点を当てすぎたことによって、SLの経済の減速と縮小に気付くことができなかったのだ。売上が何百万USドルも失われることになるまで分からなかったとは。
そう、我々はそれを彼等の概念的な誤りということにしている。しかし別の見方をすれば、リンデンはSLの経済の本当の計測方法を知ってはいたが、2009年から2010年に掛けて実際にそうであるよりも物事を良く見せようと思って、単に嘘をついていただけだとも考えることができる。それは気分よく受け入れることのできない指摘だ。
経済成長の低下は実際には他の誰にとっても明らかな現象だった。明らかな不正直がまかり通っている多くの場合には、単なる近視眼、頑迷さ、誤りということで説明が出来る。我々はリンデンの場合もこれが当てはまると考えている。
その結果としてリンデンラボはQ1とQ2にスタッフの30%以上を放り出すことになった。シンガポール事務所は閉鎖され、UK事務所はUKの労働法との絡みが解決しだい閉鎖が決まっている。中国、韓国、日本におけるプレゼンスもカットされた。この措置には8月くらいまで掛かるだろう。
アムステルダム事務所はEU域内のマーケティングを担当する新しい事務所だが、年初に開いたばかりなので、間違いなく存続させられるだろう。そしてこれがUS以外の国で維持される唯一の事務所となったのだ。
これらすべての措置が構造改革のために行なわれたと説明された。そしてウェブ・ブラウザーの中で動くビューワーの開発を目指していた努力も、潜在的ユーザーがダウンロードできるようになることもなく頓挫した。リンデンが儲けている各種プロジェクトのトラックレコードを前提にすると、それは2012年のQ1には準備ができているはずだが、そうでないと異様に遅れているということになる。
新たな2件の訴訟が起こされた。これでユーザーからリンデンラボに対する係属中の訴訟は全部で4件になった。新しいものは、Evans 対リンデンラボとFahy対リンデンラボである。
WSE(World Stock Exchange)は2008年の初めにアップグレードのために1ヶ月ほど閉鎖され、そのままになっていた。誰もがびっくりすることだが、それが今年になって復活したのだ。しかし、既存の上場企業はすべて永久的に取引停止であるとアナウンスされた。
リンデンラボはViewer2(通称Secondlife 2)をローンチした。今年の3月の末にオリエンテーションを受けることができたが、それは失敗だったと言うしかない。
いや、Viewer2に取り立てて悪いところがあったのではない。(新しいビデオのオリエンテーションはViewer2が有用だと皆に分かるには、あまりに重たくビデオに集中しすぎていたが。)しかしポイントはユーザーの使用頻度が一気に落ち込んだということだろう。
これらのことに関連があるのかどうかは分からないが、SLの検索システムにおける失敗が恐らく落ち込みの要因になっている。それと新しいサービス規約にも責任はあるだろう。
リンデンがしばらく考えを巡らして、『見つける』から『探索する』にメニューの表現を変えたのは非常に適切だった。なぜならばこの名称変更によって、我々は何かを見つけるよりも、さらにいっぱい探し回らないといけないということが分かるからだ。」
この特集記事も随分長くなりましたね。次回はいよいよ『SLの未来』についてです。
2010年08月17日
SL創世記(14)

延び延びになっていたSLの歴史を振り返るTateru Ninoのコメントです。
「
技術問題
2008年の1月には信頼できる新しいInventory Systemがロールアウトされるであろう時期だった。これはユーザーの使い心地を改善し、Inventoryのロスとロスではないがそれと同じに見えてしまうという問題を解決するためのものだった。しかし、今までのところその決着がついたという話は聞かない。
その代わりに、リンデンラボは様々な経済指標を前触れもなく突然発表しなくなってしまったことの言い訳として、それらは誤解を与えるものだったからと述べることから新年をスタートさせた。数週間たってそれらの指標は復活したが、代わりの説明はそれらはバグを含んでいたからというものになった。
この修理の時期にリンデンラボは約80万の不活性なアカウント、つまり作られはしたが一度も使われたことのないものをゴミ捨て場に投げ出した。随分遅まきのお掃除だ。
リンデンラボは一連の様々なパフォーマンス改善の取組みに意欲的に取り組んでいると宣言した。それは08年中そうなっているのだと思われていたが、今までのところパフォーマンスは向上していないようにみえる。
2009年の7月にラボはユーザーに新しいViewerの特性のなかに使用を避けるべきものが含まれていると警告した。それが安全に使えるようになったのかどうかという通知はなかった。またリンデンラボはグループチャットのトラブルに何とか納まりをつけたと表明した。しかし、5ヶ月後の時点でユーザーから見て改善されたと思えるものは何もなかった。
11月にはBetaグリッドで4月時点から非公式に囁かれてきたSL Enterpriseが立ち上げられた。それで我々は開発チームは間もなくレイオフされるだろうと理解した。
12月にはスクリプトの制作について制限が加えられ、大きな波紋を投げかけた。それから2009年を通じて、送っても着かないインスタント・メッセージの問題が起きた。それは送ろうと思った相手のもとに必ずしもすべてのメッセージが送られないというものだった。
メディア
RLのデイリーメール紙が悲劇的なイタリアでの殺人事件にSLが関与していると吹きまくった。しかし実際にはSLが何の関与もしていないと明らかになると、尻馬に乗って雑音を振り撒くところは出てこなかった。こんなマイナス面もあったが、このニュースのお蔭で世間の関心が高まったのか、ユーザーの登録数は僅かに増えた。3月になってSL内のロイターの事務所が閉鎖されたが、しばらく経つと新しい島で活動が続けられた。
オノ・ヨーコがSLのなかでImagine Peace Towerの除幕式を行なった。また、この年には『SL命のリレー』という癌研究のためのプロジェクトが大きな金額の寄付を得た。かつてないことだったが我々は新しいCEOのMark Kingdonと話をする機会を持った。
他にも色々なことがあったが、2009年のSLについてはこんなところだろう。」
2010年08月16日
メインランド売却

昨日私はメインランドにあった512M2という小さな土地を売ってしまいました。プレミアムアカウントなので512M2までは管理費はタダなのです。それで2年半前くらいに販売業者から購入して、作業場や物置に使っていました。でも実質的には放置状態でしたね。
ところが周りの土地の集約化が進んで、何時の間にか私の土地はすっかり取り囲まれてしまいました。小さな土地の周囲に高い壁が聳え立って、息が詰まるくらいになったのです。仕方がないのでスカイボックスを600Mくらいのところに浮かべて、そこを主な活動の場所としていました。幸い隣人は私のスカイボックスまで囲い込もうという気はなかったようです。
メインランドは長いこと汚い常態に放置されてきました。幾らでも細切れにして売られたり、土地を買わせるためのケバケバしい看板を設置したりするので、本当に居心地の悪い掃き溜めのような場所になってしまったのです。勿論ちゃんと住民が手を握って一定の美しさを維持しているところもあったと思います。でもSimの人気が高まるに従い、メインランドは趣味の悪い空間として低い評価しかもらえなくなってしまいました。
多くの住民はリンデンラボに対しメインランドの景観の改善をもとめました。私もリンデンラボにSL内でレターを出しました。私の主張はメインランドを住み易いところにするために、土地を512M2未満に分割して売買しないこと、道路や街路樹、公園といった公共部分を設けること、一定以上の高値で土地を売ることを禁じることなどです。
これは今年になってプレミアムアカウントへの512M2の住居の無償供給という形で実現しました。もちろん私以外に多くの人が同じような提案をしたことは疑いありません。でもこのリンデンの新しい取組みは、住居のデザインまでリンデンが決めてしまうことと、上空を使えないことなどから、余り魅力のあるものとはならず、結局は美しいゴーストタウンができただけなのかもしれません。
私がメインランドの小さな土地を買ったときはL$3,500でした。その後メインランドの地価は暴落して、多分実質L$2,000くらいになってしまったでしょう。わたしはメインランドを売る決心をしてL$5,000の値をつけて、すべての建造物を取り払っておきました。
1週間ほどすると隣人からIMが入り、相場と比べて高すぎるので値引きできないかと言ってきました。私は2ヶ月間ほど何も答えないで放置しておきました。先日再度コンタクトがあったので、「買ったとき3,500だったので、それなら売る。気に入らないのならスキンショップに改造するので構わない。」と回答し、彼はその値段で即決しました。ちょっと悪どかったかもしれないけど、不当に利益を得たわけではないですね。それに小さな土地というのは大きな土地よりも割高になるのが市場原理というものです。昔は10M2くらいでL$50,000で売っていた悪徳商人もいました。
さて、懸案も処理できたし、彼の方もいまや自分の建物の大きな傷がなくなったので、毎日必死で新しいお城を作り始めていると思います。次はもっと環境のいいところを探してみたいですね。
2010年08月10日
SL創世記(13)

2008年に関する残りの部分です。
「リンデンラボは買収したXstreetへの支配を強めた。また、大抵の人が多分こんな感じで計算しているだろうと想像していた方式にトラフィックの計測方法を改めた。
アバターのための多くの新しい苗字がお目見えしたが、それによって面白さを感じた人も眉を顰めた人もいた。投獄された人物の苗字や児童虐待を意味するスラングと同じ名前が含まれていたからだ。リンデンラボはどうしてそれらの名前が選択され承認されたかの理由は分からないと述べた。
10月になって随分長いことプロモーションを続けてきたSLの教育Wikiに停止命令が出された。リンデンはそのドメイン名を使えなくした。しかしその死んだドメイン名はその後何ヶ月かの間、ユーザーに対してプロモーションされ続けていた。
この年の終わりまでに複数の教育コミュニティがリンデンラボとSLに対し距離をとるようになった。このように上質のユーザーやサポーターを相手に選んでは殴り倒すという悪しき習慣がリンデンラボに根付いたように思われる。
リンデンラボはXstreetの料金構造や運営方針を変更し、多くの人々を大騒ぎさせ、彼等を競合相手のサービスへと追いやった。これによって2009年には多くの出品者が失われた後、リンデンラボは2010年になって変更のうちの多くのものを結果的に撤回することになった。
向上しよう!
『コンテントの窃盗阻止にむけて一歩を踏み出そう!』という大規模なユーザー主体の活動が起きた。これはコンテント窃盗への認識を高めるとともに、リンデンにコンテント窃盗問題に対する強い反対の感情が存在することを知らしめるためだった。そして早急に対策を打つために話し合いを持つことも意図していた。
キャンペーンが終了した後しばらく経って、我々はこのキャンペーンの有効性についてリンデンラボと話してみた。リンデンのスポークスマンはラボはこのキャンペーンに対応する形では何のアクションも取らなかったし、『向上しよう!』キャンペーンに関して何らかの知識を持ったり、認識していたかということも定かではないと述べた。」
2010年08月09日
SL創世記(12)

法とポリシーの問題
「IRS(米国内国歳入庁)は議会に新しい法や規則は必要ないと報告した。仮想の商品やサービスや通貨は現行法によって課税することが可能であるとの見解である。
Herbert EstateはDuneのRole player を厳重に取り締まることにした。そしてRLのTASER社(群衆鎮圧用スタンガンのメーカー)は4月にリンデンラボを訴えたが、それは5月には取り下げられた。二つの問題とも知的財産権の侵害に関することだった。二つの事案は大きなSLのユーザーである事業者がリンデンラボを集団訴訟に巻き込んだという意味では本質的には似かよっていた。
リンデンラボはBots、トラフィックの水増し、キャンプに対して規制措置を取り始めた。しかしこの方針を実施したことの明確な成果というものはほとんどなかったし、腰が定まっていなかった。その年と次の年の間中ずっとリンデンラボの誰がこの問題に取り組んでいるのかさっぱり分からなかった。
皮肉なことにリンデンラボは非常に幅広い影響を持つ攻撃的なコンテントをユーザーから隠す技術を開発しながら、多くのユーザーをなんとか怒らせようと行動しているように見えた。
同様にリンデンラボはユーザーをパートナーとして扱うようりもライバルと見做したりしたので、新しいコンテントの評価レート付けを定義するプロセスでさえ混乱せずにはいられなかった。とどのつまり、新しいシステムよってSLで許されるコンテントの範囲は拡大され、減らそうと思っていたのに反対に増えてしまうことになった。」
ちょっと補足しておきましょう。リンデンラボでいったい誰が運営方針を決めているのかはかなり難しい問題です。恐らく各部署のVPクラスだと思いますが、決定過程が不透明なのと、公式に発表される理由付けがほとんどの場合政治的に加工されていて、真意が不明の場合が多いのです。
ただはっきりしていることが一つあります。ブロガーのProkofy Nevaはそこそこの影響力をリンデンラボに対し持っているということです。彼はSL関係者であれば知らない人はいないくらいの論客ですが、毎日何10ページ以上もの仮想世界関連の文章を更新し続けています。
そしてSLの中でもリンデンラボの幹部に議論を吹きかけたりしています。彼の主張は一見偏っていて、言い掛かりみたいなものが多いのですが、気かつくと何年か後にはリンデンラボがその主張を取り入れているという場合が少なくありません。例えばNevaはリンデンの幹部に対してずっと何年もの間にわたり、「トラフィックの水増しを許すな」、「Botsは違法だから排除すべきだ。」、「Botsはリソースの無駄遣いで、他のユーザーに損害を与える存在だ。」といったことを主張し続けて来ました。
そのしつこさに時折リンデンの中堅幹部が根負けするということなんでしょうかね?リンデンの側からすれば自分達の意図の実現に都合の良い主張があれば、それは利用しようということに過ぎないのかもしれません。
法律という意味ではやはりRLの企業や個人から訴えられるのが実害も大きく手間も掛かります。そこでRLの権利侵害に繋がるSL内のややこしい行為はできるだけ取締まるというのがリンデンラボの基本方針となっています。SL内で誰が住民の誰の作ったテクスチャーを盗んだのかというのは実はどうでもいいと思っているのです。この辺りの本音はなかなか明かされることはありません。
「非常に幅広い影響を持つ攻撃的なコンテントをユーザーから隠す技術を開発し・・・」は意味不明です。Tateru Ninoには分かっているのかもしれません。ユーザーから隠されているのだから、私が気がつくことはありえないですね。ブログには以前から「隠されたリンデンだけの秘密の園」という表現が出てきて、そこでRosedaleが好き放題やっているというニュアンスで語られていますが、証拠のないことなので、それ以上想像を逞しくする意味もないでしょう。各自の家庭のトイレやお風呂場だって「隠された秘密の園」なのかもしれないし・・・。
2010年08月04日
SL創世記(11)

「2009年のリンデンラボを一言で要約すると、『考えの足らない』、あるいは『迂闊な』人達ということになる。前の年にはそれなりに頭を働かせていたのだが。
回転ドア
リンデンラボのOFO(最高財務責任者)John Zdanowskiが会社を離れたあと、リンデンラボはユーザー間取引の大きさがSLの経済規模を表すものだとの考え方を気に入り、その年の間中そちらへ傾斜していった。その過ちは自分で規模を広げすぎた会社自体に責任があるのだが、結果として2010年になってスタッフの三分の一をレイオフすることになった。
Communication ManagerのKathleen Craigは間近に予定していたプレス・リリースの話を我々としていた最中に姿を消した。後で彼女は就任後1年も経たぬ間に会社を辞めたのだと分かった。どういう状況なのかはそのときは分からなかった。プレス・リリースの内容にはリンデンラボがウェブベースの仮想商品市場を運営する会社を買い取るということが含まれていた。OnRezとXstreet SLだった。On Rezはとても魅力的な会社だったが、最終的には消滅させられた。
そして上級副社長のRobin Harperが会社を離れようとしているとのニュースが入ってきた。それは明らかにリンデンラボの経営層のリストラの一環だったが、多くの上級職の採用も含まれていた。それから、何時でも陽気なリンデンラボの創業者であるPhillip Rosedaleと4月に話していた時に、我々は彼がもはやリンデンラボの運営にほとんど関与していないのだということに気がついた。
リンデンラボとIBMは共同でIETFの作業グループを立ち上げた。これは仮想環境の相互乗り入れの標準を作る意図だったが、1年も経たないうちにリンデンラボはそのグループへの関与を止めてしまったように思える。
コンテントの開発者として勇名をはせていたRezzableのグループは、どんどん隆盛になっていた彼等の仮想牧場と有名な様々のコンテンツを2010年を以ってSLから撤去した。
(自分達の独自のグリッドを作ってそこに移転した。)」
Orangeグループは彼等の島を閉鎖し、Telstraグループも同様に撤退した。そしてリンデンラボはマーケティングのためのオフィスをアムステルダムに作ることを計画した。」
2010年08月02日
SL創世記(10)

「2008年は不吉な色調に彩られた年だった。リンデンラボはその時点での顧客ベースには満足していないと表明していた。モールビジネスや教育、政府の業務の一部、その他一流企業がユーザーとなるのが望ましい等と言われても、一般のユーザーがそれを歓迎するということはなかった。リンデンラボはまた、犬が自分の尻尾を追いかけてグルグル回るように、実際には現れもしない競合相手の影に怯えて色々馬鹿をやった。
Mitch KaporはAnniversaryにわざわざ出てきて、『今のままの顧客ベースじゃ面白くない。本来SLが目指していたRLの市場へと道を切り拓いて行かねばならない。』とのたまわった。
SLの創始者であるPhillip RosedaleがCEOの役割から離れ、Mitch Kaporの代わりに会長になった。OrganicからMark KingdonがやってきてCEOに就任し、キラー・アプリケーションとのコラボ路線を提唱した。ただこれはそんなに驚くほどのことではない。このブログのこのシリーズを最初から読んでいる人なら気付いていると思うが、SLの初期の段階で投資家達が言っていたことと同じだからだ。
KingdonはViewer2の仕事を引継いだ。これは政府や企業の取り込みを狙ったものだった。終わることのないSLのオリエンテーション・プログラムの修正、企業化されたSLの商品、これらはすべてRosedaleがCEOのときに始まり、Kingdonの在任期間中に完成したものだ。
リンデンラボはEUに住むお客にVAT(付加価値税)を課すことを始めた。それは最初からうまくいくはずのものだった。しかし、実際には事前の通知はほとんどなく、抗議活動が勃発するのは避けられなかった。またまた、それがあったからこれがあるという理屈が出てくることになる。多くのユーザーはUKにリンデンラボのBrighton 事務所が開設されたことと、VATの徴収を関連づけた。実際にはEU域内でリンデンラボのプレゼンスがあろうがなかろうが、全く関係のないことだった。VATがDigital Online方式で課され、それを支払うというのはEUの要求で、EU市民を顧客に持つ以上当然だった。リンデンラボは以前にもVATを徴収されたことがある等と口走っていたが、実際には以前にそんなことは起きていなかった。
リンデンラボの法務部がぼんやりと起き上がってきて、商標登録に関する新しい方針を押し広めようとした。そうして伝統的にリンデンラボと一緒に商売を作ってきた人々やその支持者を2,3年に亘って棍棒で殴り続けるということをした。新しい方針はほとんど『禁反言』に触れるまでに以前保障されていたことをひっくり返して上書きしようとしたに等しかった。一言でいうと、長年薦められていたSLの商標の使用法が突然許されないことになったのだ。これはブロガーたちのストライキを引き起こしたが、リンデンラボにとっては少しも痛くも痒くもなかった。
リンデンラボは銀行にBanを喰らわした。全ての銀行ではなく、RLで政府等の規則に従い適正に認可されたのでないもの、何らかの金利をつけるものに限ってのことだったが、結局はそれはすべてのSL内の銀行を含むものとなった。この出来事は前の年に起きたことを色々重ね合わせてみると、あまり驚くべきことではないと思われた。
4日後にSL内の株式世界市場がアップグレードのために約1ヶ月間閉鎖されるとアナウンスがあって、1カ月が経つと何かステートメントがリンデンらから発表されたが、再開される見通しはなかった。しかし、びっくりしたことに2010年になってそれはとうとう再開された。
リンデンラボは2008年以来SLの紹介資料やウェブサイトから『住民によって所有される』という記述を洗い出しては潰していくということをした。2008年の最後になると、サービス規約の一部に幾つかの文章が散見されるだけになり、ユーザーが自分の作ったものに対して所有権を持っているという記述の痕跡はほとんど取り払われた。
リンデンラボは長い間空席となっていたCommunications Managerのポジションを、Millions of US社のKathleen Craigを引き抜いてきて充てた。
この年Hypergrid Transportの最初の実験が成功した。これはアバターをSLから別のソフトで動いている他のサードパーティのグリッドに移動させるとういものだった。しかし、その後一年も経たずに、これを含めたInteroperability向上のための試みをすべて放棄することになった。
以上は2008年にSLで起きた多くの混乱した出来事の一端に触れたにすぎないだろう。