2008年03月26日
コピーボット(その2)
私はCopybot を見たことはありません。別にロボットの形をしている必要はないし、アバターに装着してもいいんでしょうね。でも、情報を総合すると全てのスクリプトやデクスチャーを盗んでいく自動プログラムのようです。
RLのコンピュータ犯罪と同様、この違法ソフトもインサイダーによってつくられたんです。Paul CarrとGraham Pondによれば、06年の秋にリンデンラボの下請けでSLをインターネットに統合しようとしていたLibsecondlifeという会社が最初のCopybotを開発したんです。
それには何かを複製するときに相手の許可を求めるコードが入っていたんだけれど、なぜかこの会社は作ったもののソースコードをオープンにしていたので、やがてCopybotはコピーされて、例のコードも取り払われてしまったの。つまり、怪物の誕生ね。でも何だか出来すぎたお話。どうしてインターネットの統合と住民のオブジェクトのコピーが結びつくんでしょうか?
別の説明をするブロガーもいます。その頃コンカレントにSLに接続するユーザーのピークが一万人に近づいていて、一万人を超えるとSLが一挙にダウンして、回復不能になるという噂があったとか。それでオブジェクトのコピーをするアプリケーションが必要になって、Copybotが産まれてしまったというお話です。これもかなり粗雑な理屈ですね。そんなことをみんながしたら、一万人を突破する前にSLがダウンしてしまうわ。リンデンラボが別のサーバーにバックアップを取るということかしら?
以前このブログで取り上げたリンデンラボのエンジニアのコメントとして「私はリンデンラボがコピーライトの侵害に手を貸していたのを知っている。」というのがありましたね。これは上に掲げた説明とは符合はしていますね。リンデンラボが何らかの形で関与していたという意味では。
2006年11月、Copybotは野に放たれました。この猛威を食い止めるためにはSLにおけるデータの受け渡しという基本的な部分のソースコードを根本的に改める必要があったんだけれど、リンデンラボはそれをしませんでした。それはリンデンスクリプトの体系の作り直しに近いものがあったんでしょう。実際にリンデンラボがやったことは利用規約の改正とFBIへの通報です。RLの物理力の権威を借りて、止めないとRLで犯罪として取り扱われるぞという脅しをチラつかせることで、Copybotの跳梁を食い止めようとしたのです。
その効果は十分にあったけれど、それは根本的な解決ではありません。RLのゲリラや犯罪者と同じように、彼らは地下に潜ったにすぎなかったからです。そうしてみんなが忘れた頃にまた地上に現れたというわけです。最近いろんな場所で「他者の創作物を無断でコピーするのは犯罪だ」とか「みんなでSLのクリエーションを守ろう」とかいう看板を見かけます。これを見てCopybotが復活したのではないかとみんな疑心暗鬼になっているんだけど、これは図らずもCopybotへの対処法がないことを物語っているのです。
外国のブログを読んでいると、Copybot2.0という名はオリジナルより進化しているから付けられたと説明されています。オリジナルはオブジェクトしかコピーできなかったけれど、2.0は何でもできてしまうんだって。これも見てきたような話ですね。
リンデンラボはWLに力をいれるよりも、本当はCopybotを防ぐコード作りに集中すべきだったのかもしれませんね。でも、RLの反映としてのSLなら、コードの手直しっていう地味な作業より、華々しいWLに行ってしまうのかもしれません。営業的にもアッピールし易いし。
Posted by Sophiee Winkler at 13:33│Comments(0)
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