2008年03月31日
仮想世界の神話(その3)
三番目は「人々は仮想世界では現実とは異なった振る舞いをする。」というものです。メディアは仮想世界の「匿名性」を根拠に、仮想世界のプレーヤーは現実では思いもよらなかったような言動をとると決め付けています。ただ、この思い込みが他の様々な思い込みと違うのは、当のプレイヤーである私たち自身がそのように発言していることです。つまり、「私はRLとは全く違った人間になりたいし、違うことをやってみたいのでSLをやっているのよ。」って公言してることが多いんですね。実は私もその一人です。
そうして、半年もSLをうろついていると、先輩顔をして初心者にこう言ったりするんですね。「気をつけなさいよ、アバターの背後には全然違う性格の人間がいるんだから」って。何かいかにも本当らしい忠告なんですが、では何に気をつければよいのかはよくわからないんです。
でも仮想世界のなかでは私たちはRLとかなり似通った考えや行動をしていることが観察されています。私自身も違う人間を演じているように思っても、実際はRLよりもさらに尖鋭的に本音が出てきてしまっています。以前にも書いたけど、RLにはいろんなしがらみや制限があって、私たちは本音で生きているわけではないんです。でもSLでは嫌なことは避けることができるし、やりたいことをやりたい時にやりたいだけできるんですからね。初心者の段階を過ぎれば、かなり気ままに生きていくことができるんです。
広告代理店なんかも、SLでのインタビューはRLでのそれよりも、より率直に本音の答えが、沢山のアバターから得られると感じています。この点ではマーケティング・リサーチに関したビジネスがもっとSLの中で伸びてもよさそうだけど、まあ、インターネットでもいいのかもしれない。ただ、SLの中に入ってまでRLのTVの番組や広告の好き嫌いについて手紙を書いたりはしないだろうけど、SLの中のことについてならいろいろ言うでしょうね。「いったい何がしたいのこの広告は!RLのものをSLで売ってどうすんのよ。RLと同じCMじゃないの、手抜きしないでよー。」なんて。
Posted by Sophiee Winkler at 13:36│Comments(0)
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