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Sophiee Winkler
Sophiee Winkler
2007年6月生まれ。MagSLの原宿に住んでて、HARAJUKU PLACE というお店をやってます。景観商品とか小物が中心です。最近はスキンとシェイプに凝っています。
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2008年05月27日

定着しない原因

定着しない原因

定着率が悪いことがSLの停滞の象徴であり、また様々な問題の原因でもあるというのが一般的な見方ですね。私もそう思います。もちろんそうでない見方もできますし、定着率が悪くて何がいけないという考え方もあるでしょう。この部分は本質的な問題を含んでいるので改めて考えましょう。

今日は出発点として、今まで各方面で散々指摘されてきた定着率の低い原因をもう一度纏めて振り返ってみることにしましょう。

(1) ハードウェアの要求性能が高い
Windows VISTAがヒットすればそれにより一気にSLの普及が加速するという期待がありましたが、VISTA自身が不発に終わりました。このロジックは何だったんでしょうね?VISTAを動かすためにマシンがハイスペックになるので、ついでにゲームやSLももっとできるようになるのではという理屈でしょうか?

要するに今のところ仕事などで予めハイスペックのマシンを持っているか、わざわざゲームやSLのためにこの大きなマシンを買う人でなければやらないということですね。こんなマシン背負って歩けないので、携帯のシンプルなアプリに適わないのです。ハード面からの大衆化に向けたハードルは高いと思います。

因みにラップトップでSLできる超高性能マシンが出たとしても、私は今んとこお金がなくて買えませんので、開発しなくてもいいです。で、これが何で定着率の悪い原因かというと、ロースペックマシンで始めて満足に楽しめないし、高いマシンを別に買うのは無理という人は、失望して止めてしまうという理屈です。もちろんこの要因は始める人を最初から排除してしまう効果も絶大ですね。

(2) 時間が掛かる
ちょっとしたものを作るにも、チャットするにもSLは時間が掛かります。会話はVoice Chatという手があるけれど、それは個々のやり取りに要する時間は減るかもしれないけれど、チャット自体内容がないものを延々とやり取りするようになるだけで、あまり改善にはつながらないかも。中南米の人よくしゃべりますよね。スペイン語できなくてよかった。

ものづくりも時間掛かります。決まったものをホイホイ作る作業ではなく、新しいものを自分にも未知のテクニックを使いながら作っていくので時間が掛かるのは当たり前ですが、多くの人は飽きてしまうでしょう。根気のある、イマジネーションの豊かな人しか残りませんね。ストレスも溜まるので、お仕事の合間にものづくりというわけにはいきません。この点はSLの本質かもしれないので、将来技術的な改良がなされても変わらないかもしれませんね。

(3) 技術が必要
当てずっぽうでなくて、頭を使った試行錯誤が求められます。専門家から見ればLSLはC言語なんかよりずっと単純なんでしょうけど、私たち一般人にはかなりの難関です。サンプルを少ずつ変化させて守備範囲を広げていくっていう感じ。プリムの加工だって、根気よくいろんな手段を試してみて分ってくる部分があります。ゲームの攻略知識のレベルではない思考を伴った努力が必要なんです。これはかなり敷居が高いですね。

(4) お金が必要
キャンプで稼げるお金は多寡がしれています。そのために費やす時間や電気代やマシンの劣化は馬鹿になりません。落ち着いて何かをするためには放浪者じゃなくて、土地を持たねばなりません。Sandboxがあって理屈上はお金なくてもいろんなことができるんですが、そもそもアバターを飾り立てたり、家を持ちたくなるというのは人間の「感情移入」や所有欲に基づいたものなので、長くやるには何らかの形で土地は必要です。だからSLは「土地本位制」ですね。これには何がしかのお金は掛かります。

土地を持つということにお金を掛けるというのはRL的な発想ですが、これに違和感を覚える人も多いでしょう。土地そのものが利益を与えるのではなく、それを利用する過程で利便性や満足が得られるので、そのRL的な生産指向に遊びよりも労働の匂いを嗅ぎ取ってしまう人は、お金を使うことにためらいを覚えるでしょう。

土地以外にもアバターを飾り立てたり、お気に入りの楽器や車を買ったりするとキャンプでは追いつかないほとお金が要ります。

(5) 相手のある世界
一人で黙って何かしてる人というのもけっこういます。SNSというのは見ず知らずの人と双方向のコミュニケーションが取れる場という触れ込みなのに、別のアバターが近づいていくとAFKの振りをしたり、逃げてしまう人もいますね。

顔が見えないと気楽におしゃべりできるという人もあるでしょうが、孤立化している多くの人はRLでも本質的にコミュニケーションができないので、SLに入ったからといってできるようにはならないのです。

RLでは会議に出るとか、会社の用事でどうしてもイベントに参加せざるを得ないとか、無理やり他者と交わる場がありますが、SLでは嫌ならログアウトは簡単なので、RLとSLでの「同時ダブル引き篭もり」が可能になってしまいます。こういう人をうまく引き出す手段はないですね。

一つのSIMにこういう人が2人ほどいて、結構土地持ってたりすると、それだけでSIMは半分ゴーストタウンのようになってしまいます。この人たちの対人関係構築というか、折衝能力の向上というか、そういうことができるのか?あるいはそれはそもそも大きなお世話なのか?難しいです。引き篭もってる人自身が定着率を悪くしているわけではないけど、SLに引き篭もりを治療する効果がどれくらいあるか分からないので、そういう人が辞めてしまうと、やっぱり対人関係の問題かなって見えてしまうわけ。

(6) 総花的で中途半端
なんでもできることは確かですが、それがRLの商業ベースのものに太刀打ちできるかというと無理ですね。百貨店対専門店の闘いみたい。ニーズが均一のときは百貨店やスーパーでOKですが、多様化・細分化してくると専門店タイプが有利になってきますね。

SLはどう見てもSNS3D総合スーパーという感じで、一応何でもできるけど、特殊なサービスを求める人は別の世界に行くでしょう。例えば精密な「東京駅」のレプリカを3Dで作りたいということになると、SLでは出来ないことはないけど、クリエーターとしては不満なところが一杯でしょうね。だから別のとこにも行ってしまう。

(7) 自由の恐ろしさ
RLではご飯食べるために時間を使って何かやらなくちゃならない私たちですが、SLでは別に何かをしないといけないということではないので、観光したり、ショッピングしたりして、やがて飽きてしまいます。

この間個人タクシーの運転手さんに聞いたんですけど、会社のときは楽だったって。嫌々でも会社に出て行くから。個人になると、「今日は世界陸上だな。」とか、「亀田のタイトルマッチだな。」って思うと休んでしまう、休めるから。これを自分の体にムチを打って仕事に出て行くというのが辛いんですって。

そもそも遊びなんだから、やれるときに適当にやってればいい筈なんだけど、そう思っていると何も進歩していかないのね。進歩しないって決めてテレタラやってるのと、時間ないよーとか言いながら何かやっているのでは、長い間には違ってくるんですね。何が違うかって?SLの面白さや深みが分かってくるという意味よ。別にお金が儲かるというわけじゃないけど。

何をやったらいいか、どれだけやればいいか、誰かが教えてくれる世界は実は楽なんです。多くの人にとって人に支配される方が、自分自身を支配するよりはうんと気楽なんです。SLはこれにチャレンジする場なのね。そこが面白い。面白いけど辛いんです。なんでSLに入ってまで根詰めないといけないの?そうですね。はい、そういう人は適当に遊んでください。気がつくと別のSNSやゲームの世界に居ると思うけど。それも自由だから。

(8) お金は儲けられない
少なくとも現時点ではRLで必死に働いたほうがお金になります。SLやらないで、この数年間、ロシアやドバイで外車ディーラーやってた方がお金持ちになれたでしょう。SLは時間を奪う蟻地獄のようなものです。だから今はあるかないか分からない大ブレークに向けて技術と根性を養う時期なんだけど、大抵の人はそこまで待てないで止めてしまいます。

マスコミの無責任な記事を信じて個人でSIMの賃貸業に乗り出した人は徐々に撤退を余儀なくされるでしょう。SLでの土地賃貸業は労働集約的だし、転売狙いの不動産売買は土地が理論上無限に供給されるので、本来成り立たないんです。土地のように見えているのはサーバーの使用権に過ぎないんですからね。それを使用して何か儲かるビジネスができないのであれば、使用権そのものの価値が増えるはずはないし、もし価値が増えるとそれに応じて新たに供給されてしまうので、やっぱり無理なんです。

このように沢山のハードルがあって、それを乗り越えられるか、無視できるか、ぼんやりしていて気がついてないという人が現在残ってSLを楽しんでいるということ。大多数の人はハードルのどれかに引っ掛かって、一定期間の経過後SLを離れていくのが現状です。

ではどうすればいいのか?それはまた明日。

タグ :定着率

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Posted by Sophiee Winkler at 13:32│Comments(6)ビジネス
この記事へのコメント
Bravo!!!!!!!!!!!!!8888888!

的確かつ冷静な分析ですばらしいです。
全ての項目で共感しましたし、おいらも同じことずっと前から思ってます^^

ロシア・ドバイのくだり最高w
タクシードライバーの例と、土地無限供給のところは、いつもおいらのストレスの種ですわ。。。

ところで、いつもSophieeさんのブログをクリックするの楽しみにさせてもらっています^^ ではどうすべきか、の続編すごい楽しみです!
Posted by kenny_humby at 2008年05月28日 01:01
コメントありがとー。28日の分はちょっと脱線してしまって、「ではどうすべきか」までいきませんでした。1日延期になっちゃった。
Posted by Sophiee Winkler at 2008年05月28日 10:09
Sophieeさん,

こんにちは.

この記事で指摘されている要因はどれもあたっていると思いますが,最大の要因は,「セカンドライフは,それに深く係われば係わるほど,ユーザに求められるものは,よりRLに近づいてしまう」という点なのではないかと思っています.そこで限界を感じたり,煩わしく感じるユーザが多いのではないかと思うのです.

RLに近づくというのは,RLで求められる知識,技能,経験,発想,企画力,問題解決能力,社会性,社交性,そしてコミュニケーション能力などが物を言うようになる,という意味です.

普通のMMORPGは,状況設定自体がいわゆる「ゲーム」(現実的には在り得ない世界での完全な遊びという意味)になっているものが多いように思います.
それに較べて,セカンドライフは全員で共有しているような遊び的なテーマはなくて,この記事に書かれているように,それは各人の自由なわけですよね.

RLで自由を謳歌できるかどうかは,個人の資質によるところが大きいと思います.
セカンドライフでも,この仮想世界固有の特性はあるものの,やはり自由を謳歌できるかどうかに最も大きく影響するのは,アバタを操っているユーザの資質にあるのだろうと思います.

その資質というのは,この仮想世界固有の部分はあまりなくて,上に書いたようなRLにおけるそれとほとんど違いがないように思えるのです.
Posted by aki at 2008年05月28日 14:22
コメントありがとー。ご指摘の通りですね。2番目のライフなので、結局RLの能力や資質が出てきてしまうのかしら?それがあまりに出過ぎるとRLを同じ社会になって息苦しくなる人もいるでしょうね。かといってそれを「封印」するというのも大袈裟だし。ここを掘り下げていくと何故SLをやるのかという本質的なところに話が進んでいくでしょうね。やっぱりお気楽にいくのがいいのかな~?まあ、政治家はINしてこないと思うので、暑苦しさは抑えられますけどね。
Posted by Sophiee Winkler at 2008年05月28日 14:47
求められる能力や資質はRLのそれに近いとは思いますが,やはり仮想環境なのですから,実現出来ることはRLとはだいぶ違うのだろう思います(RLでは不可能なことも出来るという前向きな意味です).それは発想の問題でしょうが,そこにSLの面白さがあるのだろうと思います.

そして,SLを楽しんでいる(長く継続的に利用している)人というのは,比較的発想力が豊かで,自己の能力や資質を活かしてインワールドの環境のメリットを有効に利用している人達なのではないでしょうか.

他人により既に作られたものを享受することで楽しんでいられるのであれば,それはそれでよいと思います.
個人差はあるでしょうが,それもやがては飽きがくるように思います.それで辞めてしまえばそれで終わりなんですよね.
そうではなく,その時にセカンドライフに対するアプローチを変えられるかどうか,そこで個人の持っている能力や資質,そして発想力が大きくものを言ってくるのではないかと思います.

いずれにしても,いろんな意味で敷居が高そうな世界ですね^^

#もちろん,「そんなことどうでもいいから,私はお気楽にいきます」という態度もありだと思っています.
Posted by aki at 2008年05月28日 15:26
コメントありがとー。おっしゃる通りだと思います。せっかくSLにログインしているのだから、RLの自分の延長線だけでは面白くないですね。SLの中でも何度か変身・変心を経験して成長していくんですね。それから私と同じように「おカタイ」話が好きな方がまた見つかって嬉しいですー。
Posted by Sophiee Winkler at 2008年05月28日 18:57
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