2009年11月24日
受難のチキン

Alphaville Herald によれば、Patrick Devidsonという人がSion Chickenの「SL内社会現象」とでもいうべき側面に着目して、「チキンについて」というレポートを書いたんだそうです。ハーバードにおける研究にも参加したとか。別に教授というわけではありませんが。そこで始めて明かされた事実を幾つか記しておきましょう。
ご存知の通り、Sion ChickenはSion Zaiusという人が作ったSL内のニワトリの恰好をしたペットで、卵を産み増殖します。Sion Zaiusは雛やニワトリとともに卵も売って、さらにはそのChickenたちに食べさせる特別な「餌」を売ることでお金を儲けています。
農場主のためにチキンや卵を売買する市場が作られ、またニワトリ小屋やその他もろもろの農場経営のための付帯的アイテムが考案され、活況を呈しました。
初期の頃には農場主が飼っているChicken達がGriefer達によって銃や弓矢で殺されるという事件が相継ぎました。面白いのはZaiusがChickenをそのようにして殺せるように設定していたということですね。意図的なものを感じます。
やがて多くのGrieferがWoodbury Universityに所属しているということが分かり、彼等の他の悪行とともに、このチキン殺しもWoodbury UniversityがリンデンラボからBanされる原因の一つとなったのでした。2007年頃でしょうか?
しかし、Grieferが少なくなってもChickenは殺され続けたのです。それはChickenがあまりにも速い速度で増殖し、これを生かしておくためにはZaiusが独占的に販売するそこそこの価格の「餌」を買わなければならず、農場経営が成り立たなくなってきたことに関係していたのです。
ある女性農場主は裸になってChickenの頭の上に座り、チキンを窒息させる遊びを思いつきました。また別の農場主は殺し屋のChicken(Black Chicken)を買ってきて、仲間を殺すところを見物する楽しみを発見しました。また、弓矢で撃つという方法もなかなか面白いものであることが分かりました。
このようにして一部の農場主は殺すためにChickenを飼うという歪んだ行動に嵌まり込んだのでした。そしてそれは少なくとも経済的合理性にも合致していたのです。
RLでこのようなこと、つまり殺すのを楽しむためにペットを飼うということは許されるのでしょうか?法律的にはペットは買主のものなので、殺そうが食べようが犯罪にはなりません。しかし、残虐な取り扱いをすればその他の法律や条令に触れることになります。動物愛護団体というようなものも目を光らせています。
しかし、SLではそんな法律もなければ、愛護団体もないのです。果たして人はこのような悪魔的な飼い主の行状を非難できるのでしょうか?では、自分や他人のアバターを虐待するのは許されるのでしょうか?そういった問題をテーマとして研究したんだそうです。
芥川賞などの選考で時々あるのですが、候補作家が自分の作り出した登場人物をひたすら不条理で怠惰で破滅的に描いて、その行動を説明することなしに物語を終わらせてしまうという作品があるのです。その場合選考委員から「たとえ自分のつくった登場人物であっても、まともな説明もなしに不可解な行動を取らせ続けるというのは作家としては失格である。作家は登場人物に責任があるのだ。」というような批判をします。
つまり、変な人間を描くことだけをテーマにしていることの醜さと稚拙さが嫌悪感を催させる、少なくとも読者の一部から共感を得られるような側面もあるべきだという考え方ですね。で、こういう作品は大抵は落選します。読後感が悪いのですね。
自分が生み出したものだから何をしてもいいのだというところには、肥大化された利己心は感じますが、「愛」は感じられません。でも、Chickenを面白半分に殺すのも、自分で作った戦車を面白半分に破壊するのも、物理的にはSLでは同じことなんですね。ゲームセンターに行けば、貴方も面白半分に人を撃ち殺してるでしょ?だから大事なのはそのようにしてRLの自分が傷つかなければいいのかな?確かに深いというか、不可解な人間の心や倫理に繋がる問題を含んでいますね。難しいです。
Posted by Sophiee Winkler at 13:13│Comments(0)
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