2010年05月17日
リンデンとエメラルド
私はModular Systemsとリンデンラボの関係は良好なのだと思っていました。実際幹部が一緒に面談したりして、親密な関係だと思うのですが。だから、Viewer2.0にもエメラルドの機能が取り込まれたり、あるいはModular Systems自身を買収してしまうのかなとも思っていまっした。しかし、実態は今回の事件も含めて最近ある種の緊張関係があったことが分かりました。
原因の一つにはModular Systems がViewer 開発のサードパーティであるということ自体から当然に出てくる問題があります。というは、サードパーティは本質的にオリジナルと違うものを造ろうとし、その結果それがリンデンラボに許容される限界を超えてしまうことが十分予想されるからです。具体的には知的財産権に抵触するような機能とか、個人情報への必要以上のアクセスとか、猥褻度の高まりとかの問題です。
明らかに問題があるサードパーティやもぐりのViewerは淘汰されつつあります。ただ、そのなかでエメラルドは比較的望ましい例と考えられていたのですが、やはり問題はあったのでした。実際には1年以上前からセキュリティ問題に関して何人かの人がエメラルドの危険性について言及していましたが、なかなか実態はわかりづらいものでした。
リンデンとしては優れた技術やアイデアは取り込みたいが、かといってリンデンが運営するSLの基盤を崩しかねないようなものは困るという立場です。サードパーティからは、じゃあいったいリンデンラボはサードパーティに何を期待するのか?公式版と同じものしか作らないのであればサードパーティとか、ソースコードのオープン化の意味などないという思いでしょう。
もう一つの立場上の違いは、サードパーティが専らユーザーの利便性、娯楽性を念頭に置いて開発を行なうのに対し、リンデンラボはそれら以上にRLとの関係、マスコミや、政治家、様々なイデオロギーを持った団体の反応を常に考慮に入れておかねばならないということです。同じSLに関与していても、サードパーティは攻める立場、リンデンラボは守る立場ということが言えますね。
したがって普通ならそれなりの棲み分けができていそうなことでも、まだまだ新しいSLという仮想世界のサービスでは、事業者間の利害対立の芽が残っており、安定的な関係には至っていないのだと思います。
もちろんリンデンラボは自分達の公式Viewer以外のものを認めないという方針を打ち出すことは可能です。しかし、それはSLの将来の発展性や可能性を奪うことになるので、何とかコントロール可能な場合には敢えて問題点には目を瞑ろうということでしょう。それは外部から見るととっても適当というか、ナマクラな対処をしているように見えるわけです。親戚の悪戯小僧を一族から勘当しないで育てていけないかなと思っている金持ちの叔父さんという感じかしら?
Posted by Sophiee Winkler at 16:33│Comments(0)
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