2007年12月16日
リンデンの内紛
11日にリンデンラボの技術担当重役であるコリー・オンドレイカさんが解雇されてしまいました。理由は将来の戦略をめぐる路線対立とか。オンドレイカさんはリンデンスクリプトを作った人ですから、これは大きな問題ですね。真相は分かりませんが、例によって理屈の面から推論してみたいと思うの。
リンデンの幹部が対立する問題というのは幾つか考えられます。まず、
(1)EXITの時期や方法に関する問題
EXITというのはベンチャーであるリンデンラボが成功したんだけど、飛躍的に増大した企業価値をどうやって実現させるか、つまりお金に代えるのかということね。普通はIPO(Initial Public Offering)ということで株式を公開、上場して創業者利得を実現します。公開しないで、全部または一部を投資家に譲ることも可能ですね。公開の方が倍率は高くて儲かる可能性が高いけど、時間と手続きが面倒、その後の経営者としての責任も米国では重いわね。資本家への譲渡つまりM&Aは、早いのが取り得ですね。一部持っていて、その後にまた上場という手もあります。私達ごとグーグルに売られるという話も出たり引っ込んだりしてますね。
このタイミングや内容について考え方が分かれるということはあり得ますね。実際には既にリンデンラボは複数のベンチャー・キャピタルから合計1100万ドルの投資を受けていて、この方面からのIPOの要求圧力というのも馬鹿になりませんね。投資利益率は時間の関数なので、投資家は資金の回収が早ければ早いほどいいんです。
(2)他のSNSとの提携や合併に関する問題
リンデンラボの価値を高める方法として、他のSNSと提携したり、相互乗り入れすることで拡大を図るという方法があります。でもこれはリスクも大きいし、経営が混乱する恐れもあるので必ずしも得策とはいえないですね。SNSをリンデンがリードしている現在では、魅力が少ないオプションかもしれません。
(3)SLの技術に関する問題
SLはすばらしいプラットフォームだけど、急拡大したせいで幾つかの積み残しの問題があります。グリッドの容量の問題、グリッドの連鎖的崩壊の問題、セキュリティーの問題等々。これにオープンソースの問題が絡んできて、マーケティング的に新機軸を打ち出してSLの価値を高めたいとする考え方と、クリエーターの権利を擁護したい、技術的にディスクリートにしたいという考え方がぶつかるというのはありそうなことです。
(4)政治、社会との関わりに関する問題
SLは創設の当時から多くの政治的、社会的な問題に晒されてきました。ギャンブル、幼児虐待、フリーセックス、マネーロンダリング、課税、コピーライト、宗教等々をめぐりSLの自由な設定はともすれば既存の価値観とぶつかってしまいます。リンデンやSLの政治、経済における力はまだ弱く、既存の社会勢力との対立はそれらのSLへの介入を招き、結果としてSLの価値が下がってしまうことになるでしょう。そのためリンデンラボは幼児虐待や、ギャンブル、課税の問題で一部とはいえRLに譲歩して来ました。このことがオリジナルのコンセプトの毀損と捕らえてこの点で対立が出てくる場合はあり得ます。
実際には(3)の技術問題を中心にして他の問題も絡む形で考え方の違いが拡大していったのだと思います。前回のセキュリティ問題で取り上げたように、リンデンのオフィシャルなコメントの歯切れの悪さなんかにもこういう対立が現れていたんですね。さて、今後どのようになっていくのか、私達アバターごとある日突然売られてしまうのか、私達としては見守るしかないのね。
Posted by Sophiee Winkler at 13:15│Comments(0)
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