2011年12月04日
天使の本音

天使といっても本物の天使ではありません。 Tenshi Villura というアバター名なのです。彼女はRLでは母親ですが、SLではときどきHerald に記事を書いています。その人が珍しくSLやそれに関連する情報を記事にしているのではなくて、自分のRLとSLの活動を振り返った本音を書いていたということです。
彼女は2006年にSLを始めて最初はSLの中のゴシップをブログに書いていたのですが、だいたい一日当たり2,000から3,000、最盛期には5,000ほどのアクセスがあったそうです。いろんなテーマにチャレンジする過程で当然ブログ上の戦いになって、それに勝ち抜くのはある種の充実感があるのだけれど、敵もいっぱい作ってしまうということです。振り返れば彼女がSLのなかで使った時間というのは結局は現実からの逃避だったのではないかと感じています。
彼女は2005年には妊娠していて、学校にも通い、2006年までには3つのパートタイムの仕事を掛け持ちしていました。子供が生まれたころ雑誌のSLのとてつもない成長性に関する馬鹿ばかしいほどに誇張された記事を見てSLに参加しました。
SLのなかで友達をつくって、RLの朝のコーヒータイムのあとでログインするのが日課になりました。家族と一緒に外出していないときは、わが子は彼女の膝の上で寝ているか、足元の椅子の上で寝ていました。RLの生活の負担が重くなっていきました。
小さいけれども強力なSLの評判、期待というものが彼女をログインさせていたのです。彼女はSLのなかでは長い時間を使って色々なアーティストを支援していましたが、やがて彼等は彼女の親しい友人になりました。
パートの仕事が一つあってあとは子供の世話というときに、彼女はRLの会社が運営するSLの中での短期の仕事を見つけました。これも彼女がログインすることの言い訳というか根拠になったのです。なぜならその会社はRLの本物の小切手を送ってきてくれるのですからね。
自身の父親が家族の一員として戻ってきて、子供も成長していき、負担は益々増えていきました。SLでは彼女の記事に端を発して彼女の悪口を言う人が出てきて、ある団体(多分リンデンラボ)が彼女のお蔭で記念祭が目茶目茶になったなどと言い、彼女も頭にくることがありました。SL内の仕事自体もはっきり言って下働きというかアパートの管理人みたいなもので、続けていきたいものではありませんでした。
SLにログインすることは益々「雑用」になっていって、デスクトップはやめてラップトップで間に合わせるようになりました。彼女はウェブサイトの管理権を巡ってSL内の友人と諍いになり、その人を失う羽目になりました。それはドミノ倒しのように彼女の友人を失わせることになりました。
彼女のことを実際には何も知らない人から、彼女は悪く言われたり褒められたりしました。仮想世界は彼女の自我を拡張させ彼女は満足を得ることができました。実際にはRLでは何もできない彼女の言葉が仮想世界の中のSLユーザー達には意味あるものだったのです。彼女は仮想世界のアーティスト達が有名になるのを支援し、また足を引っ張って落ち目になるのにも手を貸すことにになりました。(つづく)