2011年10月08日
最近考えていること(2)

さて、原子力発電について考えるなんて言ってました。技術的には素人なのですが、それはあまり問題ではありません。技術的な専門家がどれくらい適当でいい加減かというのも今回分かったことでしたね。必要なのは素人でもいいから正しく考えるということです。
いま問題なのは原発が必要かどうかという議論ではありません。それ以前の段階のことです。それは私たちが科学技術についてどう考えるべきかということです。私たちは科学技術を発達させる方法は発展させましたが、科学技術についてどのように考え、どのように議論し、コントロールしていくのかという方法を確立していないのです。私たちというのは人類ですが、とくにここでは私たち日本人はと考えてください。
科学と私たちということについて言えば、私たちは科学を分かっていませんし、実はあまり分かろうともしていません。健康食品やサプリメントを常用しているオバサンは、例えばコラーゲンがいいと聞くとコラーゲンをやたら飲みます。その頭のなかではコラーゲンがお腹で吸収されて、コラーゲンのまま血管をピューっと走っていって、何故か頬っぺたのところで止まってお顔がスベスベになるのです。
でもこれはほとんどあり得ないことです。せっかく摂取したコラーゲンはタンパク質として体内で消化分解され、普通の栄養として処理されてしまいます。ただ、コラーゲンにはいろんな種類があるので、アミノ酸の結合体であるペプチドは体内コラーゲンの生成に役立てられるかもしれません。しかし、それはわずかなものでしょう。
でもオバサンはそんなことにはおかまいなく、コラーゲンをどんどん摂取し、また皮膚の外側からもいろんなものを塗りたくって、お肌を若く保とうとするのです。コエンザイムQ10がいいと聞けば、それも一緒に食べてしまいます。その効果は測定されないし、測定されなくても平気です。
これと同じようなことが他の分野でも常時起きています。むかしクロレラが体にいいということでヤクルトにまで入れられていました。あれはどうなったのでしょうか?科学的には効能は証明されていません。
酵母が体にいいということでビールの醸造に使った酵母を取り除かないままのビールが売られていたことがありました。結局酵母の殻は堅くて、私たちの消化器では分解できず、そのなかにある様々な栄養素は私たちの体内に取り込まれることなく、排出されてしまいます。でも私たちはそんなことは気にしないで、体にいいと思って飲むのですね。まあ、ビールの酵母以外の成分がいいということはあるかもしれません。
サメの肝油は?紅茶キノコは?ローヤルゼリーは?マイナスイオンは?卵油は?等と並べるとキリがありません。私たちはこれらの体によいと誰かが言った物質や商品の効能をほとんど確かめることなく、まことしやかな説明とともに「鵜呑み」にするのです。医療についても同様で、免疫療法と聞けばどんな怪しげなものでも跳びつくのです。
私たちの多くは確かめることよりも信じることが好きなのです。なぜなら確かめることは難しく、信じることはたやすいからです。「騙すよりは騙される方がいい。」という人がいます。それは「考えたくない。」と言っていることなのですが、そういう人は本当に考えることが嫌いだし、やはり自分の言っていることの意味も考えないので、平気でそう言えるのです。
「考える」ことは「疑う」ことでもあります。「自分は果たして正しいのか?」、「自分の主張は実は自分の利益の追求のために生み出されたものではないのか?」、そのように突き詰めて考えていくときに、初めて私たちは科学や真理に接近することができます。でも多くの人にとって「疑う」ことは卑しいことなのでそれはやりたくないのです。実は「疑う」ことは「考える」ことで、それはある人々には面倒で、自分が馬鹿だと気付いてしまうかもしれないことなのです。そこで「疑う」ことをそのような地位に落としめてしまって、面倒を避けるのです。
長々と健康食品中毒のオバサンの話しをしてしまいましたが、私たちの「原発」に対する態度もこれとあまり違ってはいません。だれかが「原発は危険だからゼロにしろ、さもないと日本は滅亡するぞ!」と脅すと原発に反対し、「いやいや、資源のない我が国には原発は不可欠だ。エネルギーの供給を止められて戦争を起こし、その結果原爆を落とされたことを忘れたのか!」と言われると、やっぱり原発は必要だと思いなおすのです。
原発は地上における人類の科学技術の集積のような存在です。以上のような「疑う」ことを拒否する民族である私たちは、原発に対してもどのように考えていけばいいのかということを、実は原発の専門家もどこかの誰かに判断を預けっぱなしにしてきたということが今回分かったことなのです。(つづく)
Posted by Sophiee Winkler at 21:29│Comments(0)
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