2011年04月23日
ストップ・ザ・帝国

SLとは関係はないのですが、世界情勢に対するアメリカ人の感覚が分かる一文があったので訳してみます。Copper Robot の Mitch Wagner の文章です。
「非常に多くのアメリカの問題は我々が『帝国』であることから発している。
国防費は連邦予算の三番目に大きな支出項目だ。それは6,890億ドルにのぼり、支出全体の2割を占めている。これより多いのは の8,930億ドルとそれをわずかに下回るSocial Security の7,010億ドルになる。国防費が半分以下になったと想像してみよう。それは共和党が今年の予算から削ろうと思っている610億ドルの5倍もあるのだ。
もし連邦政府が明日の朝目を覚ましたときに、我々はアフガニスタン、イラク、リビアから兵力を引揚げるぞと言ったらどうなるか?彼等は2週間で帰国するだろう。実際我々は世界の色々な国々から兵を引揚げつつある。我々は強力な防衛力を維持することにコミットしている。もし我々の国土や市民や財産を攻撃する者があれば、迅速で恐るべき反撃が待ち構えているだろう。しかし、我々が何者かを攻撃する唯一の条件は我々が先に攻撃されるということだ。
世界中から兵を引くというのはコストの高い判断になるだろう。台湾は中国に下るだろうし、イスラエルも敵の手に渡る。それは大変な犠牲だ。
中東は混沌の中に放り込まれることになる。でもそこは既に混沌の中にあるのではないか?冷酷な専制的支配者がイラクやリビアやその他の国々を掌握するだろう。でもそれは現状から何か悪くなるということなのか?もし地方で権力を握った指揮官がこれらの支配者と内戦を戦うことになると、市民たちは板挟みになって、アメリカ人もしばしばそれに加わったりする。
我々は中東の石油へのアクセスを失うようなことはないだろう。彼等はそれを売らなければならない。彼等は石油をそのまま食べることはできないからだ。
それで何かいいことはあるのか?
軍事に携わっている1400万人の人々のほとんどは退職して民間の仕事につくだろう。道路や橋を作ったり修理したりして、国のインフラを維持していくのだ。(軍務で培われた)知性や規律や倫理が民間を刺激するだろう。今のところ民間の活動は創造性が不足しており、トップの優秀な人材はお互いに攻撃しあい、何かをつくるよりは攻撃で倒れることに時間を使ってしまっている。我々の軍隊は人員のサイズでは中国に次ぐが、人口千人当たり7.9人と中国の3.4人を大きく上回っている。
結局軍隊はアメリカの福祉プログラムの一環であって、人口の相当の部分に賃金を払い、福利を提供している。これは第二次大戦以来のことだ。国家的な社会保障のプログラムを持つことができれば、ものを破壊することより建設することに目的を変更して、人々に参加してもらうことができるだろう。
そしてもちろん戦争には肉体的な、感情面でのコストも発生する。アフガニスタンとイラクでの軍の死傷者は41,000人に上る。そしてその各々には家族があり友人がある。家族もまた痛みを感じているのだ。
これはたんなる公式の犠牲者数にすぎない。戦いの恐怖のために両眼の視力を失ってしまった伍長のMichael Jernigan はこう言っている。『戦場からある種の傷を、肉体的なものでも精神的なものでも、負うことなしに帰って来られることなどない。』
ビザンチン帝国の例を考えてみよう。彼等は小さいけれども勇猛な軍隊を持っていて、どんな敵にも決定的な勝ちをおさめることのできる能力があった。しかしこの軍隊はほとんど使われることはなかった。帝国は敵を分断して互いに戦わせることを心掛けた。おかげでビザンチン帝国は1,100年も続いた。今のアメリカのやり方では250年ももたないだろう。
アメリカはその剣を鋤の刃に打ち直す必要がある。(武器の代わりに)工場やラップトップ・コンピュータを作ってもいいのだ。我々は努力のすべてを傾けて商業や科学や芸術で世界をリードすることに専念すべきだ。ものを吹き飛ばすことでリーダーになろうとするのは止めた方がいい。」
まあ、このように考える人が米国で多くなれば世の中はもっと平和になるのですが。でもラップトップなんて何十年も前からアメリカで作ってないのじゃないでしょうか?メキシコとか中国なのでは?確かに米国は世界で最も多くの爆弾を無実の武装していない人々の頭上に落とし、また落とし続けている国家であることは間違いないでしょう。