2009年05月14日
魔法の言葉
先日このブログで取り上げたスタンガン製造販売の会社の件ですが、法律専門ブログのPatent Arcade によれば、先頃商標権の侵害でリンデンラボ社とその幹部を訴えていたアリゾナのTaser(テーザー)社は、突然その訴えを取り下げた模様です。
私は弁論の維持は難しいのではないかと言っていましたが、やはりSL内の侵害行為がリンデンによるものだと主張するのは無理だと判断したのではないでしょうか?ただ、今回の取り下げには“Without Prejudice”という魔法の言葉が添えられています。
これは何かというと、一般的に法文に添えられて「この行為や発言は基本的な立場を撤回したり放棄したりするものではない。」と釘をさしておくという意味があるのです。つまり、今回は訴えを取り下げるが、これは今後訴えないということではないし、この件で新たな証拠や論拠を示して後日再度権利行使することは有り得るぞ。」という条件付留保を示しているのです。
法律でも外交でも交渉による妥結を図る場面があるのですが、そのときに明らかに自らの主張に反する譲歩案を出す事だってあります。で、結局合意に至らない場合は、いろいろ交渉案を出したけれども、そんなものはチャラで決して原則的立場を放棄したのではないといいたい時にこの魔法の言葉を書いておけば、その主張が認められるという英米法の慣習ですね。
ということで今回は取り下げられたけど、また新たな証拠を集めて、さらにお金になりそうなポイントにフォーカスして再度訴えを仕掛けてくることは有り得るわけです。
あるいはリンデンラボとちゃんとお話し合いができて、リンデン側がSL内の取締強化をするとか、Taserに半年タダで島を貸すのでどうぞそこで商売するなり、広告するなりして下さいなんて譲歩案出したのかもしれない。まあ真相は分かりませんが。だいたい民事の訴訟というものは訴えが提起されたときは華々しくマスコミでも取り上げられるけど、その後は当事者間で「合意内容については公開しない」という条件で手打ちをしてしまうことが多いので、最終的な顛末は不明の場合が多いのです。
Patent Arcadeを英文で読みたいという人はこちらです。
http://www.patentarcade.com/2009/05/case-update-taser-v-linden-research.html