2010年06月10日
WU次の一手

私が何年も前からずっと疑問に思っていて、このブログでも何回も言及したことがあります。それはなぜリンデンラボが彼等のGridを真似たOpensim(OpenGrid)が登場してきた時に、RLの無体財産権を行使してそれを止めさせなかったのか?易々と競争者の増殖を許してしまったのかということが一つ。もう一つは何故CopyBotが現れて一般住民のビジネス等に被害が出ているのに、これを相当期間放置していたのかということです。
この点についてもちろんリンデンラボは何も語っていないし、さすがの外国人ブロガー達も歯が立たないようです。しかし何かはあるはずとみんな思っているのです。もちろん様々な仮説、憶測を立てることは可能です。例えばOpensimについてはこんなことが考えられるでしょう。
(1)元来リンデンラボはオリジナルなSL Gridの技術や権利を所有していなかった
(2)RLでの訴訟となると、まだ公になっていない技術まで明らかになり、現状まだ多く残っている優位性が失われる可能性があった。
また、Copy Botについては次のように考えることは可能です。
(1)リンデンラボの技術の中心人物がCopy Bot開発に深く係わっていた。
(2)そもそもリンデン自体に一般住民の創造物を手に入れようという意図があった。
(3)スクリーンキャプチャーで簡単にコピーできることを排除しようがない。
(4)そもそもSLのなかの住民の創造物などRLの法的保護の対象とするに値しないと軽く見ていた。SLでオリジナルに作ったものなどあるのかという立場。
(5)リンデンにとって恐かったのは住民がRLのブランドの権利侵害をSL内で行なうことで、そっちを取り締まることが最優先だった。
(6)SLの中でRLで起きていることが再現されるのは、善悪の区別なく許されるべきだというポリシーがあった。
(7)違法行為も経済の一部となればリンデンラボの利益に繋がると考えた。
これらは一言でいうと、リンデンラボとSLはダブル、トリプルのスタンダードで運営されているという仮説ですね。3次元仮想世界の未来を開く公のプラットフォームでありながら、一部の者達の普通でない楽しみの場でもあり、住民に平等な権利が認められているクリエーションの場でありながら、住民や企業家はお金を巻き上げる対象であり、いざとなったらそんな方便は放擲されてしまうかもしれない世界なのです。
私は今回のWoodbury Univ.に対するリンデンラボのヒステリックで容赦のない処置の原因はWoodburyやその一派であるWrong Handsがリンデンラボが決して明らかにされたくない秘密、恥部といってもいいところにまで迫って行ったからではないかと考えています。
最後にHeraldの記事からWoodburyのリーダーであるTizzers Foxchaseの言葉を拾ってみましょう。『』内がFoxchaseのコメントです。
「FoxchaseはWUは今後SLの論評者(ご意見番)として存続していくと述べた。そうして彼女は目の前に多くの悪名高い連中を集めて発破を掛けた。『ヘイ!みんなこれくらいのことで深刻ぶってんじゃないわよ!』ということでいったいWUグループは次に何をしでかすのかということを気にせずにはいられない。」
「Foxchaseに言わせればSLというのは10年間乗り倒した中古車みたいなもので、そろそろ乗換え時なんだそうだ。つまり、Woodburyの活動の主要な拠点は今の古くなったプラットフォームから、Blue MarsとかMyCosmといった他のGridの出城に移っていくのだ。
『SLは間違いなく仮想世界にとって必要なものだった、でも…』
Foxchaseは期待している。
『次世代の世界がSLの失敗に学ぶことによって、磨き上げられたプラットフォームとして現実化しつつある。』
彼女によれば、Blue Marsは明快にその候補である。しかし他の人々、ガタガタしたインターフェースや険しい学習曲線の坂道(ここではなかなか操作に慣れていけないと言う意味)に文句をいう人はこうは考えないだろう。
現在のところ20人ほどのWUの開発メンバーがBlue Marsでの数個のプロジェクトに携っていて、Foxchaseは彼等がこの将来を約束されたGridでのプロジェクトで働けていることに非常に興奮しているし、今年の7月にカリフォルニアのロングビーチで彼等の主催で開催されることになっている、第一回メタバースコミュニティ年次総会をとても楽しみにしているんだそうだ。
しかし、出先を作ったからといってWUがすぐにもSLからいなくなるということではない。Foxchaseは彼等が(名前を変えて)まだSLに残っていることを認めながら、胸をはってこう言ったものだ。
『リンデンラボは私たちの建物を壊し、作られた景観を平らにしてしまうことはできるわ。でもメタバースの自由を守るという私たちのメンバーの固い決意を打ち砕くことはできないのよ。』」
「WUが、あるいはそのうちの誰かが、リンデンラボに対して最近の出来事に関連して恨みを残していて、Opensimをその報復ために使うのではないのかと尋ねると、彼女はこう述べた。
『リンデンラボの最大、最悪の敵はリンデンラボ自身なの。彼等が自分自身の会社に与えた損失に比べたら、私たちのやったことなんて足元にも及ばない。私たちは法律家を雇って(リンデンが私たちに与えた損害を賠償させようと考えている。)それが私たちの意味する報復っていうことになるわね。』
Foxchaseはそれはすぐにも行動に移されるだろうと確約したが、その計画がどのようなものであろうとも、WUの連中はBanが恐くてインターネットのチャット部屋に閉じこもっていたり、SL Forumに殴りこみを掛けたりする程度のことで満足するような手合ではない。」
明日は一連の記事のまとめというか意味合いを考えてみたいと思います。
注:学習曲線が急だと問題だというのは記者の誤りで、学習曲線が急激であるほど時間当たりに獲得できる経験値は増していくのです。経験曲線というのもあって紛らわしいのですが、こちらにしても経験値や学習の成果に代わりに作業に必要なコストを持ってくるだけなので、やはりカーブが急な方が効率がいいと思うのです。分かったようでなかなか難しい概念ですね。
今日のところは何だか凄くWU寄りの記事になってしまっていますが、その当たりの理由もまた考えて見ましょう。