2008年10月22日
どんどんやってね

Linden LabとMinsky のSLARTのトレードマークを巡る争いに関して私が予測したことは早くも実現しつつありますね。ここでもう一度事態の経緯を纏めておきましょう。
Minskyはアバターを含むSLの中での映像芸術に対してSLARTという名称をつけて、それをRLの世界で商標登録しました。SLのARTという意味ですが、SLは当時は商標登録されていなかったので、SLARTはそのまま認められてしまいました。
しかし、その後MinskyからLinden Labに対しSLARTの権利がLindenによって侵害されているという名目で賠償金の支払いを要求したことにより係争が始まりました。
Linden LabとしてはSLという言葉は公に認知された言葉であり、Linden Labを始めとする多くの人が日常的に使用しているもので、それを一部として含むSLARTは取り立てて法的に保護する必要のあるものではないと考えました。そしてSLART自体がSLに対する商標の侵害だと主張しているのです。(でもはっきりいうと、へんてこな新しいロゴマークを作ったりしていて、ちょっとボンヤリしてましたね。)
Minskyの主張のなかにSLARTという言葉だけでなくて、SLのなかで採録された映像を使うこと自体を自分のビジネスに対する侵害だと捉えているのかどうか、そこのところは不明です。
Linden LabはSLARTの商標登録の無効を行政機関に訴えましたが、行政の判断が先送りされたため、民事訴訟での決着を求めることとなりました。
私はLindenが対抗措置としてMinskyのアバターをBanすることが有り得るとコメントしていましたが、現実にLindenはMinskyのアバターのSLへのアクセスを差し止める仮処分命令を求めました。(Injunctive Relief=差し止めによる救済)その根拠の一部は私たちもLindenとの間で交わしているTerms of Service (サービス条項)です。
手続き面での問題として、差止命令の要件はなかなか厳格で、次の3つの条件が満たされることを必要としています。
(1) 侵害が現に起こっているか、間近に迫っていること
(2) 差し止めをしない場合には回復不能な損害が発生すること
(3) 差し止めを求められている行為が違法性を有していること
私見ですが、(2)と(3)は難しいと思います。損害はお金で回復可能ですし、違法性というか、サービス条項の違反は具体的に証明しないといけません。
サービス条項にはLindenの判断でいつでもアカウントを閉鎖できるというような記述があったように思いますから、すぐにBanしてしまってもいいわけです。それをわざわざ仮処分命令という形でオーソライズしようとしているのは、Minskyに対する取引材料としてBanを使おうという腹だと思います。
しかし、一方でその結果としてLindenが私たちに押し付けているサービス条項がフェアなものかどうかということが問題になり、裁判所が全体を検討するということになります。つまり今まではSLのなかでのお約束だったものが、RLの光に晒されることになるわけです。まあ、こういう時のための契約なのでそれが役に立っているともいえます。
このようなリング上での殴り合いと平行してお互いの弁護士達は落としどころを探って接触を始めているだろうと私は想像しています。
まあ、訴状も読めないので細かいところで誤解はあるかもしれないけど、大筋はこんなところではないでしょうか?どう考えても私に直接影響が及ぶとは思えないので、野次馬気分で眺めています。