2009年07月24日
私のSIM講座

「賑わいのSIM講座」をデジアカの特別講義でやって欲しいと思っていたのですが、どうやら時間切れで明日が終了式となりました。次期は9月開校(開講?)となりますから、それに期待したいですね。でも私がそういう要望を持っているのはちゃんとした理由があるんです。
外国は知らず、日本のSIM経営者達はみんなギリギリのところで頑張っています。基本的にはビジネスモデル、つまり何らかの事業をSLの中で起こして、その収入で土地の管理費やその他のコストを賄っていくという仕組みは、新しくSLがブームになりつつある国や年齢層といった、新規利用者の大幅な伸びが続いているセグメントを除いては成り立たなくなっているのです。つまり日本人SIMでは基本的には採算がとれず、遊びの延長としてSIMが存続しているといっていいでしょう。
もちろんSIM経営者の立場は様々で、RLの生活に余裕がありSIM管理費はお小遣い程度の負担にしか感じられない人、SLの初期の薔薇色の夢を信じて貯金を取り崩して投資した人、人との触れ合いよりも膨大な広がりのなかで孤独を楽しみたい人、RLで感じている抑圧に対し、SLでの特異な趣味や行動を通じて精神の均衡を保とうとする人等々、千差万別です。
ただその中でSLに未来社会に繋がる大きな可能性を感じ、色々な実験を繰り返している人達がSIM経営から撤退する事例が目立って来ているように思います。そのような状況をなんとか挽回できないのか、パイの取り合いのなかでどのような方針を掲げてどのように振舞うのがそれぞれの「成功」に繋がるのか、ということを自分で考えたり教えてもらったりしたかったのです。
私自身はSIMを持っていません。自宅や作業場の土地は借りていますが、所有地としてはメインランドに512M2の極小地があるだけです。むしろお店や作業場については二人のSIM経営者に居候している状態です。だからSIMの購入の手続きや、管理指標や、リスタートの手順や、管理費の支払いといった手続き面の知識もなければ、パートナーの見つけ方、クリエーターの維持の仕方、土地の転貸、イベントの企画運営といったオペレーション面でのノウハウも知らず、それにまつわる苦労や悩みも経験したことはないのです。
したがってここでは、そのようなSIM経営者の立場にたったアドバイスというものは書くことができません。できることはあるSIMに何故人が集まり、また何故人が集まらないのかを、SLを楽しむ住民の側から考えてみるということです。
私が想定しているSIM経営者とは先ほど掲げた色々なタイプのうちで、SLがRLと繋がる可能性を信じて、今からいろいろ実験してみたい、ついでにあわよくばSL内でもビジネスを作ってお小遣い程度以上のものを稼いでみたい、有名になってみたいと思っているような人です。大抵の人はこんな質問をされると、「いえいえ、私のはただの遊びなんです。別にお金なんかどうでもいいんです。」と返事をしますが、この際自分に正直に考えて欲しいですね。お金が儲かるというのはモデルがうまく回っているということ、人々に満足を与えているという何よりの証拠なんですから。これ以外のSIM経営の目的については今は考慮の対象外とします。
さて、大前提として何をおいても人が集まってくるSIMでなくてはいけません。人がいなければ、それは本当に仮想の「空間」だけであって、SLはもちろんRLでの価値ある創造につながって行き難いからです。ただの作業場としてSLを使うことも可能ですし、RLのビジネスを主体にしてSLやOpenSimを従属的なツールやコンテンツとして使うというモデルはあるでしょうね。3Diなんかはそういう考え方でしょうが、これはSIM経営とは全く関係はありません。SLは3DSNSなのですから、人との出会いや相互作用が新しいものを生み出すという認識の上に成り立っているものだと思います。
では、人はどのようなSIMに何を求めてやってくるのでしょうか?そして同じその人が何故そのSIMから永久に去っていくのでしょうか?これが一番のイシューなのです。多分これは人はなぜSLをやるのかということにかなりIdenticalなイシューであるでしょう。
一つの仮説として、それは「人はなぜ商店やコンビニに行くのか?」と同じイシューであり、同じ答えであるとしましょう。人は次のような理由で商店やコンビニに行くのではないでしょうか?
(1) 一定レベルの満足を与えてくれる商品やサービスが得られる。
(2) 何か新しいものが見つかるかもしれない。
(3) 自分の気に入っている例のものがある。
(4) 取り敢えずやることはなくても、時間が潰せる。
(5) バイトの子が可愛い
(6) 友達や面白い奴が集まっている
(7) いろんな情報が得られる
(8) 何かもらえる
(9) 何か落ち着く
(10)キャンプできるから(コンビニにキャンプはない)
他にもあるかもしれません。これは通りすがりからSIMの常連になる場合ですが、実際にはSIM運営側の人もいて、その人が何故その役割をはたしているのかということも考えてみる必要があるでしょう。
上記の理由のうちでもっとも影響が大きいと思えるものは、(2)、(3)、(6)、(7)、(10)といったところでしょうか。SIMスタッフとしては別の理由も考えることは可能ですね。
(11)役割を与えられていて充実感があるから
(12)土地を使わせてもらっている見返りとして
(13)そこでやらなければいけないイベントや作業があるから
(14)変な奴を見つけて排除しないといけないから
(15)RLで勤めている会社として経営しているSIMだから
こんなところでしょうか。
まあここまで並べなくても直感的に分かりますね。つまり「何か魅力のあるものがあるから」ということです。それは「変化」や「友達」や「情報」や「モノとお金」というところがメインですね。そしてそれらは好奇心を満たし、所属や連帯といった欲求に応え、「モノと情報」を与えてくれるからなんですね。
従ってこれら全部は無理にしても、これらのうちの重要な要素を常に満たしてくれるような場所として維持していければ、人は集まり、去っていかないということになります。反対にこれらを無視したり、スタッフに負担ばかりを強いる場合にはSIMは長続きしないということになります。
具体的に考えて見ましょう。複数の上級のクリエーター達によって人目を驚かす壮麗なSIMを建設することは可能です。しかしどんなに美しく、技術的に高いものを作り挙げたとしても、出来た瞬間からそれは陳腐化していき、人々は飽きてしまうのです。それはRLの観光地、ホテルや百貨店でも同じです。定期的にリニューアルしていかないと人は来なくなってしまいます。SvargaやSinanoといった素晴らしいSIMであっても、毎週行くという人はいないのです。もうどちらも存在していませんね。
だから、お金は必要ですが、お金を掛けるだけではダメで、上記に掲げた人集めのファクターを地道にちょっとずつ飽きることなく実践していかないといけないのです。それは言うのは簡単だけど、SLを単に楽しいゲームとしてエンジョイする立場ではなくて、RLの経営者と変わらない、辛い遣り繰りそのものなんですね。楽しむために辛い努力を続ける、なんか矛盾していませんか?この点は私の考えが足りないのかもしれないので、もう少し悩んで見たいと思います。