2008年07月22日
神々の怠慢
先日の日本人Sim住民の集会ですが、いろんな問題を含んでいます。まず、日本人SimでRLに繋がるビジネスをやっている人たち、MagSLのNekoさんとか、その他のSL内外の事業者の人たちですら、今や住民数の落ち込みを認めざるを得なくなったということが第一のポイントですね。事業者の人たちは基本的にはSLの日本人居住区に人が集まらないことにはお話にならないので、そこが空洞化、過疎化しているということには触れないで来たわけです。少しでも多くの人がSLに入ってくれば、彼等がそこに定着して新たなものを生み出す可能性も増えていきますから、一喜一憂せずに長い目で見ていくというスタンスだったわけです。
しかし、現実にはリンデンラボが掲げている住民の自発的な活動による3D・SNSコミュニティの建設というリーディングコンセプトが行き詰ってきている、この高い自由度を活用できる層というのが無尽蔵に存在するわけではなく、ある程度限りがあるかもしれないということが見えてきたわけです。プラットフォームを与えておけば、あとは住民がなんとかするだろうという楽天的な考え方が修正を迫られているということです。まあ、RLでも神様は同じように考えて長い間かなりの自由放任で来たわけですが、前世紀末から今世紀にかけて人間の資質の限界が見えてきたというのに符合していますね。
次に会場ではビジネスモデルが崩壊したのかというテーマが提示されていましたが、結論から言うとビジネスモデルは存在しているがそれはリンデンラボのためのものでしかなかったということですね。登録や接続を有料にするのではなくて、管理料という名の賃貸料で稼いでいく。そのためにリンデンラボが土地に関するあらゆる権限を独占して、いわばSL内で「土地本位制」を自分達のビジネスの基本に据えたわけです。これは初期の段階で登録者数を増やすのには非常に有効だったといえるでしょう。
しかし神様と同様、リンデンラボは“Customer Retention”というものは考えなくていいと思っていました。これは一度商品やサービスを買ってくれた顧客が、再び戻ってきて利用してくれるようにすることによって、長期にわたって高い売上と利益を維持することが可能になるという考え方です。SLで言えば住民が定着して、土地やその他のSL内の様々な商品・サービスを繰り返し購入するように環境や条件を整えていくということになります。具体的には住民に本気で技術教育をするとか、SL内のビジネスがRLに繋がって住民に利益をもたらすビジネスモデルを幾つか用意しておくというようなことになりますが、それはSLの基本コンセプトに反すると思ったのか、無関心だったかで十分には行われていませんね。実際にリンデンラボが行っているのは土地本位制のもとで、数的に無尽蔵な潜在的住民を仮定して、どんどん土地を売っていく、売れなくなったら値下げしてでも売って管理費を稼いでいくという方法です。
この方法は彼等から見れば基本的なビジネスモデルの部分的操作にすぎないのですが、SL内の事業者、特に不動産業者から見れば自身のビジネスモデルの大幅な修正を迫られる事態であったわけです。結果的に過疎化が進み、Simを歩いていても誰かの作ったBots以外には誰にも会わないということが珍しくなくなってしまったのです。
過疎化なんて憂えるに足らずという人もいるのでしょうが、RLとSLの両方で引き篭もりをしたい人はともかく、経済の発展という意味では人口や資本や物資の集積、交通の発達ということは欠かせないんです。第一、人がいないのにSNSだ、コミュニティだなんて呼ぶことがそもそも矛盾してますね。
これらのことは日本人Simだけに起きていることではなくて、程度の差はあれSL全体で起きていることです。もちろん日本人の英会話能力の低さから来る日本人Simの蛸壺化という問題がそれに拍車をかけているかもしれないけれど、本質的にはSLの構造に起因しているので、日本人事業者が住民を集めていろいろ話をしたからといって、状況が好転するという問題ではありません。それが分かっているので、事業者達も何々をこうしようということを出来ずにいます。自分達に分からないことを住民に聞いたって仕方ないとも思っているので、先日の集会は四方山話の域を出ることはなかったのです。これを私はリーディングコンセプトが打ち出せないと評したわけです。
「困ったな~」
「でも、ほんとに困っているのかな~」
「ひょっとしてこれが普通?」
「僕達どうなるんだろ~?」
「なるようにしかならないよ~。」
「最後は他のところへ行けばいいしね~。」
というようなクラゲの井戸端会議みたいなものでしたね。誰もコミットしてないというか、コミットしていると思われたくないというか。
もちろん、為になる部分もありましたよ。例えば今SLにいる人たちの中心がおよそ1~1.5年目位が多くて、それより前の人が極端に少ない。それは何かテーマを決めて追求すると半年くらいで飽きてしまい、その次のテーマを決めてまた半年というくらいにやって、1~2年を超えると全体的に飽きてしまうのではないかという仮説ですね。これは自分を見つめ直すという意味では興味深く思いました。